米Qualcomm Inc.は2008年5月12日,同社が運営する携帯端末向けの地上放送「MediaFLO」サービスとISDB-T方式のテレビ放送を両方受信できる,マルチ・モードの携帯電話機のデモに成功したと発表した(発表資料)。この端末は,Qualcomm社の「Universal Broadcast Modem」チップセットを搭載する。同チップセットは,1チップでMediaFLOとDVB-H方式,ISDB-T方式によるワンセグに対応する。これによって,Qualcomm社のMediaFLOサービスと日本のワンセグ,ブラジルのISDB-T方式に対応し,無料と有料の携帯電話向けコンテンツおよびサービスを,どちらも利用することが可能な端末を実現できるとする。

 Qualcomm社は,1チップでMediaFLOサービスとISDB-T方式に対応することによって,携帯電話機メーカーが部品コストを大幅に増加させることなくマルチ・モードの端末を製造することが可能になると説明する。さらに,同社のsenior vice president兼MediaFLO Technologies部門のgeneral managerであるNeville Meijers氏は,「アジアにおいては,これまでに多くの携帯端末で携帯端末向けの放送が利用できるようになっていたが,携帯端末向けTVサービスを提供する企業の投資に対する収益は大きくない。人気のある無料のテレビ放送と有料のコンテンツやサービスを両方利用できるマルチ・モードの端末を可能にする今回のデモは,携帯端末向けTVサービスの収益拡大への明確な道標になる」とコメントを寄せた。 

 今回発表したデモは,2008年5月13~14日にブラジルのサンパウロで開催される「Tela Viva Móvel conference」と,2008年7月22~24日に東京で開催される「ワイヤレスジャパン2008」に出展される予定である。