日産自動車は,2008~2012年度(2008年4月~2013年3月)にわたる新中期経営計画「日産GT2012」を発表し,新興国市場における低価格戦略車の投入計画を明らかにした。価格が30万円前後の「超低価格車」と,同80万~90万円の「エントリーカー」の開発を進める。前者は2010年初旬にタイとインドで生産を始め,後者は2011年にインドおよび周辺国で発売する。

 「エントリーカー」は3車種を予定しており,その車台は仏Renault社と協同で開発を進めている「Aプラットフォーム」を使う。コストは,現行「マーチ」の7割に抑える。そのため,五つのLCC(Low Cost Country / Leading Competitive Country)で生産および部品調達を行う。五つのうち,前述の通りタイとインドは確定した。残りの三つは未定。エントリーカーの投入によって,ブラジルでは販売台数を2012年度末に10万台以上に(現在は1万5000台),インドでは20万台以上に引き上げることを目標に掲げる。

 「超低価格車」に関して,同社社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏は「タタにできるのなら我々にできないはずがない」と語り,インドTata Motors社の「Nano」への対抗心をあらわにした。コスト目標は2500米ドルである。このプロジェクトには「インドの考え方やエンジニアが必要」(同氏)との判断から,日産自動車やRenault社による支援は行うものの,基本の企画・設計はパートナーであるインドBajaj Auto社に任せる方針。当初はインドおよび周辺国での販売を予定しているが,好評であれば輸出も検討する。販売価格は「2500米ドルを少し上回るくらい」(同氏)になるようだ。