米Sun Microsystems,Inc.は2008年5月6日,米国サンフランシスコで開催している「2008 JavaOne Conference」の基調講演でRich Internet Application(RIA)技術「JavaFX」を正式に発表した。

 昨年のJavaOneで,Sun社はスクリプト言語の「JavaFX Script」,携帯電話機向けのソフトウエア・プラットフォーム「JavaFX Mobile」を発表したが,いずれも買収した企業の技術にJavaFXの冠を付けただけで全体的な整合性は感じられなかった。しかし今回,パソコンなどで動作する「JavaFX Desktop」やWebブラウザーで動作するJavaFXを用意するとともに,セットトップ・ボックスなどで動作する「JavaFX TV」を発表し,RIAとしてこうした稼働環境間で互換性を確保するとした。

 またJavaFX MobileはRIA技術として再定義し,Androidなどの上でパソコンと同じアプリケーション・ソフトウエアを実行させる形にした。Androidだけでなく,既存のほとんどの携帯電話機向けJava実行環境であるJava CLDCで動作するという。

 JavaFX DesktopおよびWebブラウザー版は2008年秋に正式版を公開する予定。JavaFX MobileとJavaFX TVは2009年春の投入を予定している。

 携帯電話機向けのRIA技術としては,米Adobe Systems Inc.の「Flash Lite」が先行するが,ここに来てフィンランドNokia Corp.が米Microsoft Corp.の「Silverlight」を採用するなど,状況は混迷を深めている。Flash Liteがパソコンなどで動作する「Flash」との互換性が低く,決定打となりきれていないためだ。Adobe社は2008年5月2日に「Open Screen Project」を設立し,Flash技術のオープン化を発表したのも,携帯電話機向けRIA技術としての地位を確立するためである。Open Screen Projectでは,基本的にパソコン向けFlash技術の組み込み向け開発を手がける意向である。