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パイオニアと松下電器の業務提携,記者会見での一問一答

2008/04/25 11:17
大西 順雄=日経マイクロデバイス
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質問に答える松下電器産業常務役員の森田研氏(左)とパイオニア常務執行役員の小谷進氏(右)
質問に答える松下電器産業常務役員の森田研氏(左)とパイオニア常務執行役員の小谷進氏(右)
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松下電器の考える各FPDの位置付け
松下電器の考える各FPDの位置付け
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 パイオニアと松下電器産業は,PDPの開発・生産のための包括的な提携に基本同意したと発表した(Tech−On!関連記事1),(関連記事2)。登壇したのは,パイオニア常務執行役員の小谷進氏と,松下電器産業常務役員の森田研氏である。記者会見での主な一問一答は以下の通り。

――今回の協業で松下の技術者の層が厚くなるが,それによってPDPだけでなく液晶や有機ELなど薄型テレビ全体にどうプラスになるのか。パイオニアから移植される技術が液晶にも応用できるのか。

[森田氏]今回,パイオニアと技術提携し,またその後は技術者も一緒に私たちと共に働いていただく,基本的にはそういうことだ。PDPのいっそうの進化を目指して,そのスピードを上げていく。よりいいテレビをより早くユーザーに届けるための技術,高画質は当然だし,特に省エネ,従来からのPDPの持っている特徴をより生かしたテレビ作りができて,それをパイオニアと松下で使うことができる,という面での技術の加速がいっそう進むということが第1の目標であり,また成果でもある。そういった技術が将来,われわれが「IPSαパネル」を用いた中小型の液晶テレビを開発しているので,そういうところにその成果の波及が出てくるものと考えている。成果の波及とは「商品が良くなること」である。

――パイオニアの技術者は松下に転籍するのか。

[小谷氏]プラズマにかかわる技術者は,全員が対象になる。ただ,あくまでも本人の同意を得ることが最優先だ。何人転籍するかは,現在は答えられない。松下からは,同意が得られれば技術者はすべて受け入れていただけるという話である。技術者の人員は公表していない。5月いっぱいで本人の同意をこれから得ていこうと考えており,6月以降,順次転籍という形になる。今年の秋に出す新製品は,5月が北米,6月が欧州,10月が日本と一般地域と計画している。その次の年のパネルから松下から供給を受けることになるので,そこまでは自社開発パネルを使う。(今年発売モデルの)開発は既に終わっている。これから6月以降,次の来年以降のパネル開発に着手することになる。

――今回の提携でパネルのコストはどれぐらい下がるのか。

[小谷氏]松下からどれぐらいの価格で供給されるかはこれから詰めていくので何とも言えないが,松下の圧倒的な低生産コスト技術力を駆使すれば,相当安くいただけるだろうと期待している。

――現在パイオニアは高価格路線だが,今後の価格戦略はどうなるのか。

[小谷氏]今回の提携でわれわれが持っている高発光効率技術,高コントラスト技術,薄型軽量技術と松下の技術を組み合わせることによって,さらに進化したパネルが開発できると期待している。従って,高付加価値路線「プレミアム戦略」は継承していきたい。「KURO」というブランドを掲げて全世界に統一キャンペーンを1年間行い,各国で高い評価はいただいた。しかし,コスト競争力に付いて行けないということで数が思うように出なかったのが一つの課題であった。松下との提携によって,価格競争力のある価格になるため,「KURO」の戦略はそのまま継承しながら,少しリーズナブルな求めやすい価格で提供することで,今後も本戦略を継承していく。

――今回の提携がシャープとの提携にどういう影響があるのか。パイオニアが液晶テレビを発売するが,松下から42型パネルを受けると液晶との戦略に影響が出るのではないか。

[小谷氏]シャープとの資本業務提携は,お互いの経営における独自性を維持することが最大の条件になっている。今回の松下との話についても,シャープの理解は得られている。サイズは,市場,価格,市況,ユーザーのニーズを考えていかなければならない。パイオニアの販売戦略にも影響することになる。われわれの基本的な考え方は,40型を境にその上はプラズマ,30型台はシャープから供給を受ける液晶というすみ分けをしている。「KURO」の統一ブランドで全世界展開するという基本的な考えである。40型台はユーザー・ニーズや市場ニーズによっては,液晶とプラズマの両方を取り扱うことになる。

――競合する他社の高価格製品と真っ向から勝負するのか,少し上の想定するのか。パネルは松下と共通だが,テレビの販売では松下と競合する可能性があるのか。どう差異化する戦略なのか。

[小谷氏]「KURO」の価格は,競合メーカーのハイエンド製品のさらにその上という位置づけで戦っている。今回の松下との協力により,各メーカーのハイエンドの価格帯のところで勝負できると考えている。

――台数はどうか。2007年は50万台弱だが。上積みして事業展開するのか。

[小谷氏]先々期50万台弱,先期は48万台という見通しを立てている。今期以降についても,そのくらいの台数は最低限出していきたい。ただ今まで以上に競争力のある価格が付けられるということになると,当然チャネルや市場も広がってくるだろうと思われるので,少しでも増やしていけるように努力していきたい。

――差異化はどうか。独自のパイオニア仕様のパネルを作るという話はないのか。

[小谷氏]最終的には同じパネルを使うことになる。最終工程における画像処理では各メーカーが最後の絵作りところでそれぞれの思いや方向があり,それぞれ違う。パイオニアは「究極の黒」を目指した戦略を取ってきた。この部分で他社と差異化していけると十分に思っている。それに加えてわれわれは音響専業メーカーなので,高音質,デザインなどでの差異化がさらに可能と考えている。

――プレゼンテーションでは,液晶が将来,有機ELに置き換わるとあるが,将来とはいつか。パイオニアの有機ELは今回の提携とは関係ないのか。

[森田氏]有機ELは自発光で,テレビ作りに合うデバイスと考えている。液晶に置き換わるというより,液晶で不足している部分は有機ELに置き換わり,液晶のいいところを出してテレビができている部分については液晶を将来も利用していく。われわれの作る画質のいい,環境に優しい,目に優しいというテレビ作りの中で,デバイスの特徴を生かしたテレビ作りをしていく。その一つの素材として今後有機ELの開発を加速し,その完成度によっている商品ができるかどうかが決まる。そのメドが2015年といった時期になるかと考える。そのときに値段,生産の内容もいろいろ変化する。

[小谷氏]今回の松下との提携には,有機ELの話は一切関係ない。有機ELは一時事業を縮小した。現在,東北パイオニアが中心となって,パッシブ・タイプでは大きなシェアを取っている。対象製品は携帯電話,カー・オーディオのパネルで幅広く使われているが,今後の市場や技術の動向などを見ながら,今後も開発を続けていくかどうかについては検討していきたい。今回の基本合意の中にはその点は含まれていない。

――松下と同じパネルを使うことでパイオニアの販売が不利になるのではないか。

[小谷氏]われわれの主要市場は欧州である。欧州は複雑な市場があり,チャネルも米国のような画一的なチャネルではなく非常に複雑である。松下とパイオニアの欧州のチャネルはかなり違ったところで戦っている。これから広がっていく中で量販店では少しバッティングする状況も出てくるが,今のところ欧州でのチャネルの変更は考えていないので,それほど大きな影響があるとは考えていない。

――画像処理の技術者は残すのか。

[小谷氏]パネルの開発にかかわる技術者が対象である。プラズマ・テレビはこれからもわれわれの事業の中心として続けるので,製品化の技術者は残る。

――日立製作所とのPDPに関する業務提携には影響するのか。

[森田氏]日立とは従来から開発や生産の面でいろいろと協力してきた。そこはいままで通りである。今回のパイオニアとの提携についても,事前に日立には伝えてある。従来の関係で進めていく。

――今回の共同生産するパネルは,P5ラインの全部か一部か,ほかのラインも関係するのか。

[森田氏]基本的には,両社で共通して使えるパネルを開発していく。来年のパイオニアの新製品から使ってもらう。現状のパイオニアの技術と松下の技術を融合させて,より進化した良いパネルを作ることによって,基本的には同一パネルを使う。今後,可能性だけだが,特徴的な製品を出すために,パイオニアの独自の仕様で生産する可能性があるかもしれない。それはそのときの技術的な内容によって価値があれば作る可能性はある。ただ,高くなるので,勘案して結論を出すことになる。(パイオニアとの共通パネルは)すべての工場で全数が対象である。

――プラズマに関するパテントはどういう取り扱いを想定しているのか。

[小谷氏]今までパイオニアが所有しているパテントは,今までと変わりはない。これからは松下が主体となって開発をするので,これから出てくる新しい特許については,その都度お互いに検討しながら決めていきたい。

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