ルネサス テクノロジは,同社の携帯電話機向けアプリケーション・プロセサ「SH-Mobile」用の動画・音声再生ソフトウエア「Flexible Movie Player」(フレキシブル・ムービー・プレーヤー)を2008年7月から提供する(発表資料)。音声と動画を独立して処理する「AV独立処理方式」を採用したことにより,SH-Mobileの動画処理性能を効率良く引き出せるとする。

 Flexible Movie Playerは,復号化(デコード)処理を行うミドルウエアで復号化したデータを,同期を取りながら出力する制御を行う。従来の動画再生ミドルウェアは,音声データの再生を動画像データの再生よりも優先して処理する方式だったため,処理負荷が大きいコンテンツを再生したときに,単位時間に出力できる画像枚数が減少して動画品質が低下する場合があった。Flexible Movie PlayerではAV独立処理方式を採用し,SH-Mobileが搭載するMPEG-4 AVC/H.264復号化処理回路やDSPの性能をより引き出せるようにした。例えば,動画の符号化方式にH.264を,音声の符号化方式にaacPlusを使った640×480画素(VGAサイズ)で30フレーム/秒の動画コンテンツを再生した場合,音声を途切れさせることなく動画のフレーム処理数を従来比で最大30%向上できるとする。

 Flexible Movie Playerを利用できるCPUコアはSH4AL-DSPまたはSH-4A。対応する動画符号化形式はH.264,H.263,MPEG4-Visual。対応する音声符号化形式は,aacPlus,AAC,MP3,AMR-NB,AMR-WB,G.726である。新たな機能をモジュールとして追加できるようにしており,利用できるファイル形式の追加や,新しい符号化方式への対応などが可能である。同社製のミドルウエア「ファイル操作ミドルウェア」および「コーデックミドルウェア」と組み合わせて使うほか,顧客が開発したミドルウエアにも対応できるとする。提供価格は公開していない。