公正取引委員会が2008年4月23日に独占禁止法違反の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に立ち入り検査した件で,公正取引委員会 審査局 管理企画課長の南部利之氏が日経エレクトロニクスの取材に答えた(Tech-On!の関連記事)。JASRACと放送事業者が結ぶ「楽曲使い放題」の契約が,JASRAC以外の事業者による著作権管理事業の妨げになっている疑いがあるという。

 南部氏は,JASRACの独占をどのように考えているかを以下のように説明した。「(JASRACと放送事業者が結んでいる)包括徴収契約だと,放送事業者がどんな曲を何度かけても一定の割合の金額しか支払う必要がない。一方,JASRAC以外の著作権管理事業者との契約は,個別徴収になっていることが多い。JASRAC以外の事業者が管理する楽曲を放送事業者が使用する場合には,JASRACに支払っている一定割合の金額に加えて,別途,JASRAC以外の事業者にも使用料を支払う必要がある。放送事業者にとっては,追加の費用がかかるくらいならJASRACが著作権を管理する楽曲だけ使っていればいい,ということになる。この結果,JASRAC以外の事業者が著作権を管理する楽曲は放送事業者に使われなくなり,著作権者がそうした著作権管理事業者から楽曲を引き上げたり,管理を委託しなくなってしまう」。その結果,JASRAC以外の著作権管理事業者の参入が妨げられているという。