メモリ専業メーカーのドイツQimonda AGは,2008会計年度第2四半期(2008年1~3月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比58%減の4億1200万ユーロだった。営業損益は前年同期の5800万ユーロの黒字から4億5300万ユーロの赤字へ転落,純損益も同5700万ユーロの黒字から4億8200万ユーロの赤字へ転落した。

 前年同期と比べて業績が悪化したのは,主に平均売価の大幅な下落と米ドルの為替相場が弱含みで推移したことによるという。ビット換算による出荷量は前年同期比で48%増加したものの,平均売価は同67%下落し,価格下落による影響を出荷量の増加で吸収しきれなかった。

 第2四半期の売上高を地域別に見ると,最も売り上げが大きかったのはアジア・太平洋地域で,売上高全体の40%を占めた。次いで北米の32%,欧州の17%となる。日本における売上高は,売上高全体の11%だった。

 同社のPresident兼CEOであるKin Wah Loh氏は,「第2四半期の業績は,直前期と比べて改善したが,依然として非常に困難な市場環境の中にいる。市況の悪化が始まって以来,当社は設備投資の削減,200mmウエハー対応ファウンドリの活用の段階的な廃止,300mmウエハー対応ファウンドリでの生産比率の低減といった方策を講じてきた。現在は,包括的なコスト削減プログラムを導入し,さらなるコスト構造の見直しを図っている」とコメントを寄せている。

 同社は,年間1億8000万ユーロのコスト削減を目標とする包括的コスト削減プログラムを導入する。具体的には,全社で約10%の人員削減や経常コストの削減を図る。このプログラムには,不揮発性メモリの開発研究費が含まれており,不揮発性メモリに関しては今後基礎研究のみを行う。このため,台湾Macronix International Co., Ltd.との不揮発性メモリ技術の共同開発に関する契約も終了となる(Tech-On!の関連記事)。

 2008会計年度第3四半期のビット換算の生産量は,直前期比で5~9%減少する見通し。これは主に,ファウンドリでの生産の縮小によるという。2008会計年度通期のビット換算の生産量は,対前年比20~30%増とみる。引き続きサーバー機や民生機器,通信用途向けのDRAM市場が成長することに加え,パソコン市場の需要が大容量モジュールに移行することが,ビット需要の拡大につながるとする。市場全体では供給量の伸びが鈍化し,安定した需給状況になると予測する。

 さらに,同社は65nm埋め込み型ワード線技術に関して,台湾Winbond Electronics Corp.と技術ライセンス契約とファウンドリ契約を締結した。Qimonda社は,65nm埋め込み型ワード線技術を使った最初の製品である1GビットのDDR2の生産を,2008年9月に開始する予定である。