図1 豊通オートモーティブ クォリティー サポートセンター センター長の佐藤信夫氏
図1 豊通オートモーティブ クォリティー サポートセンター センター長の佐藤信夫氏
[画像のクリックで拡大表示]
図2 敷地面積は800m <sup>2</sup>で,さまざまな検査用装置を導入した
図2 敷地面積は800m <sup>2</sup>で,さまざまな検査用装置を導入した
[画像のクリックで拡大表示]
図3 クラス100000のクリーン・ルーム
図3 クラス100000のクリーン・ルーム
[画像のクリックで拡大表示]
図4 X線検査装置
図4 X線検査装置
[画像のクリックで拡大表示]

 豊田通商の子会社で,車載向け電子部品などを扱う商社である豊通エレクトロニクスは,自社内に品質検査センター「豊通オートモーティブ クォリティー サポートセンター(TAQS)」を設立した(図1,2)。商社が品質検査用の設備や技術者を自前で持つことはまれである。自前の設備や技術者を抱えることで,商品の不具合発生時に48時間以内で不良品の選別や原因究明が可能になる。同社は主に海外半導体メーカーの製品を扱うが,従来は不具合が発生しても海外にいったん商品を輸送して検査を依頼していたため,「原因究明に最短でも5日程度は必要だった」(豊通エレクトロニクス 代表取締役専務の柿原安博氏)という。同社はこのセンターを「当面は車載向け電子部品の販売促進するためのツールと位置づけている」(柿原氏)と語り,将来的には「電子部品の品質検査サービスで利益を生み出していきたい」(柿原氏)と期待する。

 具体的な設備としては,X線検査装置や走査電子顕微鏡(SEM),クラス100000のクリーン・ルームなどを設置した(図3,4)。設備投資額は2008年3月時点で1億2000万円である。2008年度中に8000万円分の設備を追加する方針で,今後は最大4億円までの設備投資を予定する。技術者の数は24人で,今後50人まで増やす方針も示した。人材は国内半導体メーカーなどから集めたという。最大で月600万個の検査に対応する。センターは愛知県安城市にある豊通物流の敷地内に設置し,敷地面積は800m 2である。

 具体的には主に四つのサポートを実施する。(1)納入した部品に不具合が発生した際に,24時間以内に選別検査の開始,(2)品質不良の原因を24時間以内に把握する,(3)納入前の信頼性などの評価,(4)製品開発のための品質改善指導,である。

 品質検査センターの運営は2008年3月1日からスタートしており,既に100件近くの案件に対応したという。

<訂正>記事掲載当初,「豊田物流の敷地内」としておりましたが,正しくは「豊通物流の敷地内」です。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。