市場調査会社の富士キメラ総研は,2012年までの携帯電話機とその主要部品の世界市場予測を発表した。これによれば,携帯電話機の出荷台数は2012年に15億5000万台になる見通し。2007年に比べると35.9%増である。

 主要部品で伸びが大きいのは,デジタル放送のチューナ・モジュール。2007年の出荷金額は211億円だったが,2012年には2007年比115.6%増の455億円に達すると富士キメラ総研は予測する。日本では独自規格であるISDB-Tのワンセグ方式が採用されたが,世界ではDVB-HやT-DMB,Media FLOなどが導入されている。欧州連合はフィンランドNokia Corp.が推進するDVB-Hを支持,米国では米QUALCOMM Inc.主導のMedia FLOの事業展開が進んでいる。中国では韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が主導するT-DMBが有利とされる。

 GPSチップも成長率は高い。2012年の市場規模は2007年比で87.1%増の1416億円になる見通し。警察などへの通報時に発信者の位置情報を取得する緊急通報の法令整備が各国で進んでおり,GPS機能の搭載率が高まっている。Bluetoothチップ・メーカーがGPS機能を統合していく動きがあり,2008年にはGPS機能付きBluetoothチップが導入される見込みという。

 メイン・ディスプレイの出荷金額は,数量の伸びを下回るペースで推移する。2007年の同市場は出荷数量が伸びたものの金額ベースでは前年比6.3%減だった。2012年の出荷金額は1兆2795億円とみられ,2007年からは11.7%の増加になる。携帯電話機の出荷台数の成長率35.9%に比べて伸び率は鈍い。この市場の首位メーカーは韓国Samsung SDI Co.,Ltd.で,2007年は1億7200万枚を出荷した。

 カメラ・モジュールの出荷金額は2012年に9366億円に達する見通しという。2007年比で59.8%の増加。300万画素,500万画素など高画素の品種やオート・フォーカス,ズーム,手ブレ補正といった高機能の品種で成長が期待される。なお,2007年の市場シェアではシャープが首位に立った。

 Liイオン2次電池の出荷金額は2012年に2007年比28.1%増の4424億円になる見通し。この市場で強いのは三洋電機で,2007年は出荷個数シェアで24%程度を占めた。この分野では,端末の多機能化を支えるためのエネルギー密度向上が課題となっている。