NABで展示された,DVB-SH対応のテレビ放送を受信する試作機。フランスDibcom社製のLSIを搭載している。
NABで展示された,DVB-SH対応のテレビ放送を受信する試作機。フランスDibcom社製のLSIを搭載している。
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 米ICO Global Communications (Holdings) Ltd.(ICO社)(同社のWebサイト)は,ラスベガスで開催中の米放送業界イベント「2008 NAB Show(NAB)」で,衛星放送規格「DVB-SH」対応のモバイル放送を提供する「ICO G1」の打ち上げに成功したとことを明らかにした。ICO社はICO G1を通じ,米国市場で「ICO mim(mobile interactive media)」と呼ぶモバイル・テレビなどを提供する予定となっている。同社は,2008年中ごろからラスベガス市とローリー・ダラム市でICO mimの試験サービスを開始,2009年から商用サービスを開始する予定である。

2 GHz帯で動作するICO mimは,主に自動車に搭載した端末向けにテレビやナビゲーション,緊急支援のサービスを提供する予定である。このため,ICO社は衛星放送の信号を再転送するネットワークの構築も行っている。ICO mimはモバイル・テレビ放送向けに10~15個のチャンネルで800x480画素の動画を提供するという。

約2週間前に正式に規格が策定されたDVB-SHは,携帯端末向け放送規格DVB-Hを拡張した規格である。「DVB-SHを採用する基地局はDVB-Hより2倍の面積をカバーができる」(Digital Video Broadcasting(DVB)Project,Executive DirectorのPeter MacAvock氏)。DVB-SHの技術を手掛けるフランスAlcatel-Lucent社,Director, Business Development, Alcatel-Lucent Mobile BroadcastのPablo Torres氏によると,欧州でDVB-SHサービスを提供するため,ルクセンブルグSES S.A.とフランスEutelsat Communications社が設立した合弁企業が2009年3月にDVB-SHに対応した衛星を打ち上げる予定があるという。「欧州市場では,DVB-Hサービスを受信をしにくい場所,例えばビル内などにサービスを提供するためにDVB-SHの採用を検討している」(同氏)。