伊仏合弁STMicroelectronics社とオランダNXP Semiconductors社は2008年4月10日,両社の主要な無線関連事業を合併し,合弁会社を設立することで合意したと発表した(発表資料)。両社の補完的な組織と製品群の融合によって,無線関連事業の競争力や製品開発速度の向上,研究開発機能の強化を図る。新会社設立の手続きは,関係機関の承認などを経て2008年第3四半期に完了する見通し。また,新会社は将来的にNXP Semiconductors社が以前に買収した米Silicon Laboratories Inc.の無線事業と米GloNav Inc.のGPS事業も統合する予定という(Tech-On!の関連記事1同2)。

 新会社に移管されるSTMicroelectronics社とNXP Semiconductors社の無線関連事業の2007年における売上高はほぼ同等で,合計金額は約30億米ドル。営業利益はそれぞれ約1億米ドルだった。STMicroelectronics社によれば,新会社の規模は関連業界の中で上位3社に入るという。新会社の所有権は,80%をSTMicroelectronics社が,20%をNXP Semiconductors社が持つ。新会社設立にあたって,NXP Semiconductors社はSTMicroelectronics社からコントロール・プレミアムを含む15億5000万米ドルを受け取る。さらに,両社はNXP Semiconductors社が所有する20%の持ち分について,将来の撤退の仕組みについても合意した。

 新会社はスイスに本社を置く。STMicroelectronics社とNXP Semiconductors社は,新会社に設計,営業,マーケティング,後工程製造に関する資産を委譲する。後工程の工場に関しては,STMicroelectronics社がマレーシアのMuarに所有する工場の一部,およびNXP Semiconductors社がフィリピンのCalambaに所有する工場のすべてを新会社に移譲する。新会社はウエハーの製造工場を所有せず,NXP Semiconductors社とSTMicroelectronics社,外部のウエハー製造業者に委託する。また,新会社はSTMicroelectronics社とNXP Semiconductors社からの移管によって,UMTSや中国の第3世代移動体通信,その他の移動体通信,Wi-Fi,Bluetooth,GPS,FMラジオ,USB,UWBを含むネットワーク接続やマルチメディア機能に関する広範な技術を有し,数千件におよぶ通信やマルチメディア関連の特許を保有する。

 新会社の従業員の総数は約9000人で,STMicroelectronics社とNXP Semiconductors社は,ほぼ同数の従業員を新会社に移す。新会社の取締役会には,STMicroelectronics社のPresident兼CEOであるCarlo Bozotti氏とNXP Semiconductors社のPresident兼CEOであるFrans van Houten氏が役員として参加する。