噂とは少し違っていた,車載半導体のコスト要求と,大部屋開発
車載半導体事業の厳しさにまつわる噂は多い。例えば,「自動車メーカーから厳しいコスト要求を出されて,車載半導体では利益が出ない」。「大部屋に関係者が集められて議論をさせられる。われわれのノウハウが漏れないか心配だ」などなど。
本当だろうか。その答えを探る機会を得た。NIKKEI MICRODEVICEの車載半導体の特集(2007年11月号に掲載)でいろいろな方に取材できたためである。そこで,まったく見当外れではないが,こうした噂がやはり噂の域を出ていないことが,エレクトロニクス関係に携わってきた筆者にも分かってきた。
例えばコスト。もちろん厳しいコスト要求はある。しかし,半導体メーカーが赤字になるような要求かと言うと,そうでもないようである。現に「黒字です」と,多くの半導体メーカーで車載半導体の担当者は言う。その言葉にうそはないようだ。
それでは「厳しいコスト要求」とは何か。自動車メーカーにおけるコスト計算の緻密さのことを指している。自動車メーカーのコスト計算にはスキがない。その緻密さを考えると,半導体メーカーのコスト計算にはどんぶり勘定の雰囲気が漂う。「売り先に利益まで正確に計算されてしまう」とある部品メーカーはあきらめ顔で語っていた。
人脈作りに最適の声
多数の部品を組み立てて作る自動車。開発の過程で各種のすり合わせは欠かせない。開発の初期段階で,異なる工程の担当者が協議する場を「大部屋」と呼んでいる。最初は自動車メーカーの複数の部署が集まっていたが,現在では部品メーカーも必要に応じて参加しているという。
「コンペティタと一緒に議論させられて面食らった」という声が聞かれる一方で,大部屋の利点に感心する意見も,上述の特集の取材で聞くことができた。「関連する部品メーカーの技術者と一緒に議論ができるので,勉強になる。どこも自動車には力を入れており,大部屋にはエース級のエンジニアを派遣している場合が多い。人脈作りという面でも,大部屋はあり難い」とある部品メーカーは語る。












