調査会社の米Pearl Research社は,米Apple Inc.の携帯電話機「iPhone」に対する中国の消費者の購入意向調査の結果を発表した(発表資料)。Pearl Research社によれば,iPhoneは中国で公式に発売されていないものの,違法に近い形で輸入されたiPhoneが中国国内で流通しているという。中国には携帯電話機ユーザーが5億6500万人存在し,流行に敏感な消費者も多いことから,中国はApple社にとって重要な市場になりうると同社は分析する。

 調査によると,回答者のうちの約68%はiPhoneを知っていたという。また,Apple社の携帯型メディア・プレーヤー「iPod」の所有者のうち,約88%はiPhoneに対して興味を示したとする。Pearl Research社は,「iPodは,中国においてApple社製品に親しみを持つ消費者を生み出している」と説明する。

 iPhoneを購入したいと思う理由を聞いたところ,女性に多かった回答は「流行」と「デザイン」だった。一方,男性で最も多かった回答は「使いやすさ」だった。逆に,iPhoneの購入に興味がない人に,その理由を聞いたところ,「500米ドル以上の価格は高すぎる」とした回答が最も多かった。「Apple社がこれまで携帯電話機を手掛けていたことがない」ことを理由に挙げた人も多かったとする。

 しかし,iPhoneは中国で大きな話題を集め,iPhoneの特徴を真似た模倣品が出回っている。これらの模倣品は200~300米ドルで販売されているという。ただし,iPhoneのセールス・ポイントである「タッチスクリーンによるWebサイトの閲覧のしやすさ」は,中国市場では他の市場に比べて影響力が小さいとする。その理由は,Web閲覧のサービス利用料などが高額なため,中国のユーザーの多くが携帯端末上であまりWebを閲覧しないためとする。

 なお,調査会社の米In-Stat Groupが2008年2月に発表した調査によれば,2007年末時点で,中国ではクラッキングした約40万台のiPhoneが使用されていたという(調査を発表したサイト)。これは,Apple社がそれまで販売したiPhoneの約1割に当たる。iPhoneはGSM方式に対応しているため,通信方式にGSM方式を採用する中国の通信事業者China Mobile Communications Corp.の通信網でこれらのiPhoneが使われているとする。

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