図1 プリンター6社と日本郵政グループが共同で行う
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図2 「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の共同回収箱
図2 「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の共同回収箱
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図3 今回のプロジェクトの作業分担。回収箱を設置する郵便局は「設置効果を見ながら徐々に増やしていく予定」(郵便局)である
図3 今回のプロジェクトの作業分担。回収箱を設置する郵便局は「設置効果を見ながら徐々に増やしていく予定」(郵便局)である
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 ブラザー工業,キヤノン,デル,セイコーエプソン,日本ヒューレット・パッカード,レックスマークインターナショナルの6社は,家庭用インクジェット・プリンターのインク・カートリッジを共同で回収するプロジェクト「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」を開始すると発表した(図1)。「プリンター各社は家電量販店に回収ボックスを置くなど個別で取り組んできたが,一般ゴミとして廃棄されることが多かった。各社とも個別回収に限界を感じ始めていた」(キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の村瀬治男氏)。共同回収によって,回収場所の増加とユーザーの認知度向上を図り,インク・カートリッジの回収率を高めるのが狙いである。

 インクカートリッジ里帰りプロジェクトは,日本郵政グループの郵便局と物流を利用する。2008年4月8日の時点で全国の主要な郵便局3638カ所に共同回収箱(図2)を設置した。回収したカートリッジはメーカー別に仕分けし,各メーカーが再資源化する(図3)。

 カートリッジの仕分け作業は,セイコーエプソンの特例子会社であるミズベ作業所が担当する。回収箱のミズベ作業所への配送と,仕分けしたカートリッジのミズベ作業所から各メーカーへの配送は郵便事業が行う。プリンター・メーカー各社は,回収したカートリッジを主に材料としてリサイクルする。セイコーエプソンのようにリユースする企業もある。

 インク・カートリッジは国内で年間2億個程度が販売されている。しかしその回収率は「現状では10%程度」(プロジェクトの担当者)だった。今回の共同回収プロジェクトで回収率を早期に10%程度上げ,その後も徐々に上げていきたいとした。共同回収にかかる費用は「メーカーごとの回収量と,当初合意した割合を考慮して各メーカーが負担する」(同)。

 プリンター6社によると,インク・カートリッジの共同回収は世界で初めてという。「国内における共同プロジェクトに合意できたので,今後は海外展開を具体的に検討していきたい」(プロジェクトの担当者)とする。

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