図1:ソキアの代表取締役社長 伊藤仁氏(左)とトプコンの取締役社長 横倉隆氏(右)。
図1:ソキアの代表取締役社長 伊藤仁氏(左)とトプコンの取締役社長 横倉隆氏(右)。
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 経営統合を進めている大手測量機器メーカーのトプコンとソキアは,2008年4月4日に説明会を開き,統合が両社の経営に与える影響について説明した。

 この中でトプコンは,統合によるシナジー効果として2011年度(2011年4月1日~2012年3月31日)に営業利益で約30億円,売上高で約50~60億円が見込めるとした。トプコンとソキアの2006年度における営業利益はそれぞれ約153億円と約16億円,同売上高はそれぞれ約1105億円と約224億円である。

 さらに,2010年度には測量機器やGPS,建設機器用のコントロール・システムなどといった「ポジショニング市場」において「世界シェア1位が見込める」(トプコンの取締役社長 横倉隆氏)という。同市場におけるトプコンとソキアの世界シェアは,2006年度の時点でそれぞれ22%と9%,これが統合によって2010年度には35%程度になると予測する。

 この予測の根拠としてトプコンは(1)同様の機種の開発基盤や生産拠点の統合によるコスト低減効果(2)部品などを一括で調達することによる価格交渉力の強化(3)管理部門の統合による人件費の削減,を挙げる。

 統合によって最も強化される分野は,トータル・ステーション*(TS)など一般測量の分野であるという。一般測量は両社ともに最も強い分野であるため,ノウハウや販売網を共有することによる効果が高いためだという。

* 一台の機械で,対象となる点までの鉛直角・水平角・距離を同時に測定し,内蔵するコンピュータを用いてそのデータの加工やグラフ化などができる測量機。

 地域別では,アジアや中東での販売力が高まるという。同地域は,欧米のライバル企業による市場の開拓が進んでおらず,市場規模としても「かなり大きい」(トプコン)とする。特定の地域でより強い販売力を持つ方がもう一方の製品を販売すること(クロス・セールス)により,両社の持つ販売網を最大限に活用するという。

 トプコンは2008年1月末にソキアへの株式公開買い付け(TOB)を完了している。2008年4月4日現在で,ソキアの株式を約94%取得しているという。今後のスケジュールとしては,2008年夏をめどに100%子会社化を終え,同時期にソキアの社名を「ソキア・トプコン」に変更する。さらに,2011年3~4月をめどにソキアを完全統合する予定である。完全統合後の社名もソキア・トプコンになる予定だという。

 両社が経営統合を決めた背景としては,欧米のライバル企業による企業買収の加速がある。「小さな国内市場をめぐって,両社で戦っているのはエネルギーのロスだった」(横倉氏)。地道な開発を続けているだけでは,買収を繰り返して急速に成長するライバルに対抗できなかったという。統合により,これらライバル企業に対して日本はもちろん世界市場でも優位に立つことを目指す。

図2:2011年度に営業利益で約30億円,売上高で約50~60億円のシナジー効果を見込む。
図2:2011年度に営業利益で約30億円,売上高で約50~60億円のシナジー効果を見込む。
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図3:「ポジショニング市場」での世界シェア1位を視野に入れる。図に表示されているA社とB社は,それぞれ米Trimble Navigation Ltd.とスイスLeica Geosystems AGのどちらかだと見られる。
図3:「ポジショニング市場」での世界シェア1位を視野に入れる。図に表示されているA社とB社は,それぞれ米Trimble Navigation Ltd.とスイスLeica Geosystems AGのどちらかだと見られる。
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