米Boeing社は,燃料電池を搭載した小型有人飛行機で世界初の飛行に成功したことを明らかにした。2シーターのモータグライダー「Dimona」(オーストリアDiamond Aircraft Industries社)をベースに,プロペラモータが燃料電池で駆動するよう改造した機体を試験飛行に使用。燃料電池のリアルタイム発電だけで,巡航速度(100km/時)の直線飛行を約20分継続したという。

 今回の試験では,固体高分子形燃料電池(PEFC)を採用。これにリチウムイオン蓄電池を組み合わせた電力生成・供給系を機体に搭載した。試験飛行では,初めにリチウムイオン蓄電池の残電力と燃料電池のリアルタイム発電力を合わせた電力でプロペラモータを駆動して離陸,高度1000mまで上昇した。その後,リチウムイオン蓄電池からの電力供給を止め,燃料電池のリアルタイム発電だけで上述の直線飛行に移行した。

 この試験飛行は,Boeing社の子会社であるBoeing Research & Technology Europe社が行ったもの。同社の技術者によれば,小型の有人/無人飛行機に使える可能性があるという。ただし,大型民間航空機のメイン駆動源として使うことは想定していない。

固体高分子形燃料電池搭載の小型飛行機(モータグライダー)。<br>写真:Boeing社
固体高分子形燃料電池搭載の小型飛行機(モータグライダー)。<br>写真:Boeing社
[画像のクリックで拡大表示]