カシオ計算機は2008年3月28日,株式交換によって子会社であるカシオマイクロニクスを完全子会社化すると発表した(発表資料)。株式交換は,2008年6月下旬に開催予定のカシオマイクロニクスの定期株主総会で承認される予定。株式交換に伴い,カシオマイクロニクスの株式は上場廃止となる。さらに,カシオマイクロニクスの財務体質の改善や経営基盤の安定化に向けて,カシオ計算機を引き受け先とするカシオマイクロニクスの第三者割当増資を実施する。増資額は約30億円を予定する。

 カシオマイクロニクスは,主力のCOF(chip on film)基板事業において,供給過剰による価格下落や設備投資競争が激しくなったことなどから,2006年度以降,厳しい事業運営を迫られていた。この結果,カシオマイクロニクス単独でのCOF基板事業の展開は限界があると判断し,同事業を日立電線へ譲渡することを決めている(Tech-On!の関連記事)。 また,バンプ事業でも金バンプ事業の国内需要が激減しており,ウエハー・レベルCSP事業やはんだバンプ事業へのビジネス・モデルの転換を進めている。こういった状況の中で,経営に関する意思決定の統一やバンプ事業に関する抜本的な戦略展開を図るため,カシオ計算機はカシオマイクロニクスの子会社化を決めたという。

 カシオマイクロニクスは,2006年度の決算において営業損失23億7000万円,純損失25億8300万円を計上している。売上高も2005年度から41億8900万円減少させていた。