銀塩カメラの統計指標が消えた。カメラ映像機器工業会(CIPA)は,毎月公表しているデジタル・カメラ/銀塩カメラの生産出荷統計の中で,2008年2月分の銀塩カメラの値を非公開とした。「集計上の規定を満たさなかったため表示できない」としている。

 CIPAによれば,一般に,統計を公開するにあたっては,一定の数量規模があることや,1社のシェアが80%を超えないことなど,いくつか規定があるという。今回,生産台数/金額あるいは出荷台数/金額のいずれかでこうした規定に抵触したため,銀塩カメラ本体に関する数値すべてを非公開にした。ある統計区分が規定を満たさなかった場合,同区分の同年中の実績は公開しないという規定があるため,銀塩カメラの統計は少なくとも2008年12月分までは公表されないことになる。2009年1月分から公表を再開する可能性については「検討はする。ただし,規模の縮小が進む一方の市場だけに,2009年以降も規定を満たせない可能性が高い」(CIPA)。

 銀塩カメラの生産・出荷統計は,日本写真機工業会(JCIA)が1951年に開始,2002年からはCIPAが引き継いだ。1990年代後半からデジタル・カメラの普及が進み,これに伴って銀塩カメラの市場は年々縮小。2007年には,国内メーカーから銀塩カメラの新機種は1機種も投入されず,2008年1月の国内出荷台数はわずかに1463台となっていた。

 CIPAは「新しく買う人は少なくても銀塩カメラを使い続ける人はいる。新品は買わなくても,中古品市場で名機を買い求める人もいるようだ。しかし,そうした中古市場の統計指標は存在しないので,銀塩カメラは今後,統計からは見えない市場になっていくだろう」としている。

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