米Micron Technology, Inc.は,米Rambus Inc.が独占禁止法に違反しているとして争っていた訴訟で,米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所が下した裁定に同意できないとの声明を発表した(発表資料)。

 この訴訟で,Micron Technology社と韓国Hynix Semiconductor Inc.,台湾Nanya Technology Corp.は,「Rambus社はDRAMのインタフェース技術の業界標準規格に含まれる機能に関わる特許を通じて,6種類のメモリ技術に関連した市場を不法に占有している,あるいは占有しようとしている。それが独占禁止法に違反している」と主張していた。しかし,同裁判所の陪審は,「Rambus社は,コンピュータ向けメモリ・チップの重要な業界標準規格を策定する際に,JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)のメンバーを不法に欺くことによって,独占禁止法違反または欺瞞的な行為を行ってはいない」と裁定した。今回のMicron Technology社の声明は,この裁定を受けてのもの。

 Micron Technology社は,この裁定を不服として上訴する予定。さらに,今回の裁定は,先に下された米連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)および欧州委員会(EC)の裁定と矛盾していると主張している。

 FTCは2006年8月に,「Rambus社は,不法で詐欺的な行為を通して,JEDECにおける重要な業界標準規格策定のプロセス(手続き)を歪め,コンピュータ向けメモリ・チップ業界の健全な競争を阻害した」と満場一致で裁定した(Tech-On!の関連記事)。また,ECは2007年7月に「Rambus社は,標準規格を策定する過程などにおいて,意図的に欺瞞的な行為を行った。その後,関連する特許を使用したとして不当な特許権使用料を主張することによって,ECの法律に違反した」という異議申し立て書を発行した。

 加えてMicron Technology社は,Rambus社の特許は無効で,侵害を受けておらず,法的強制力がないと主張している。米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office:USPTO)は最近,Rambus社の鍵となる特許の再調査に関連して,すべての申し立てを却下すると発表した。2008年2月には,この再調査の過程の一部として,Rambus社の米国特許「6,715,020」に関わるすべての申し立てを却下している。「6,715,020」は,Rambus社がMicron Technology社やその他のメモリ・メーカーと争っていた特許の一つである。その他のRambus社の鍵となる特許の一群は,現在USPTOで再調査中である。欧州特許庁(European Patent Office:EPO)も,Micron Technology社と欧州諸国で争われていたRambus社の特許を無効としたり,大幅に制限したりしている。結果として,Rambus社による特許侵害の申し立ては,英国,ドイツ,イタリアで退けられたとする。