米Google Inc.は米国時間の2008年3月21日,米連邦通信委員会(FCC)に新たな提案を提出したことを明らかにした(同提案<PDF形式>)。テレビ放送向けに割り当てられた「ホワイトスペース」と呼ばれる周波数帯を,免許なしで利用できるよう開放を求めるもの。Google社などが開発したソフトウエア・プラットフォーム「Android」を搭載した携帯端末などが,その周波数帯を利用することを想定する。「2008年中に発売される予定のAndroid搭載携帯電話機での利用に,ホワイトスペースは向いている」(同社)。

 ホワイトスペースは,テレビ放送のチャンネル周波数帯の中に設けられた,利用を制限された周波数帯である。干渉の回避がその目的である。Google社は,このホワイトスペースを免許不要で利用できるようにするため,ロビー活動団体Wireless Innovation Allianceと同団体に関連している団体White Space Coalitionに参加している。これらの団体には,米Dell Inc.や米Hewlett-Packard Co.,米Microsoft Corp.なども参加している。

これまで同団体は,他の無線サービスとの干渉を避けるため,免許を持たない機器がホワイトスペース内で発信する前に,他の機器の発信を検知する技術を利用するとしていた。仮に,免許を持たない機器が他の機器からの発信を検知したら,同機器は発信できない。

ところが,この技術の信頼性は疑問視されている。Google社の新しい提案は,この技術を不要にする。具体的には,免許を持たない機器がホワイトスペース内で本格的に発信する前に,免許を保有するユーザーが存在しないことが知られているチャンネルに対して,最大4Wの予備発信を行う。この予備発信は,免許を保有する発信機の情報を蓄積したデータベースにアクセスできる機器が受信する。免許を持たない機器が発信したい希望の周波数と地域に免許を持つ発信機が存在しない場合,免許を持たない機器の発信が許可される。

 さらに従来は,ホワイトスペース内で動作する免許を持たない機器が無線マイクロフォーンと干渉を起こす恐れがあることも指摘されていた。この干渉を避けるため,Google社は「ビーコン」を採用することを提案する。免許を持たない機器がこのビーコンを検知したら,ホワイトスペース内での発信が禁止される。

 こうしたシステムを支援するため,Google社は知的財産や同社が管理する免許発信ユーザーのデータベースとのアクセスなどの技術を無料で提供することができるという。