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印刷を使っても高性能,東京大学とMax Planckがインクジェット技術でチャネル長1μmの有機トランジスタ開発

2008/03/25 17:05
大久保 聡=日経エレクトロニクス
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トランジスタ構造
トランジスタ構造
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トランジスタ特性。上段がp型トランジスタ,下段がn型トランジスタ
トランジスタ特性。上段がp型トランジスタ,下段がn型トランジスタ
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試作したCMOSインバータ回路
試作したCMOSインバータ回路
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インクジェット・ヘッドから吐出する液滴の比較
インクジェット・ヘッドから吐出する液滴の比較
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 東京大学 准教授の染谷隆夫氏の研究グループはドイツMax Planck Institute for Solid State Researchと共同で,印刷技術を使いながらもチャネル長が1μmと短い有機トランジスタの開発に成功した。有機半導体には,p型トランジスタにはペンタセン,n型トランジスタにはフタロシアニン系のF16CuPcを用いており,キャリア移動度とオン/オフ比はp型で0.3cm2/Vsと106,n型で0.02cm2と104を確保している。駆動電圧も低く,通常は数十Vのところを今回は2〜3Vに抑えている。これらのトランジスタを使ったCMOSインバータ回路も試作しており,良好に動作することを確認した。基板には,ガラスやフレキシブルなプラスチックを使う。いずれの基板も上記の良好なトランジスタ特性を得られた。

 今回試作した有機トランジスタは,有機半導体層上にソース電極とドレイン電極を形成し,ゲート電極は有機半導体層の下部にゲート絶縁層を介して配置する,トップ・コンタクト型と呼ばれる構造を採用している。ソース・ドレイン電極を形成した後に有機半導体層を形成した構造(ボトム・コンタクト型)に比べると,トップ・コンタクト型は安定して優れたトランジスタ特性を示し,かつキャリア移動度も高い値が期待できる。ただし,ソース電極とドレイン電極の間隔,いわゆるチャネル長は「がんばっても10μ〜20μmが精いっぱい」(東京大学の染谷氏)だった。フォトリソグラフィー技術が使えず,シャドー・マスクを利用した蒸着を使ってきたからである。そのため,トランジスタ特性が安定していても,トップ・コンタクト型で微細なトランジスタ,つまり高速動作するトランジスタの実現は困難だった。

 この問題を解決するために,今回はソース電極とドレイン電極をインクジェット技術で形成することにした。インクジェット装置には,SIJテクノロジが開発した「スーパーインクジェット」装置を使った。インクジェット・ヘッドから吐出できる液滴の大きさが1fl(フェムト・リットル)以下と,一般的なインクジェット・ヘッドに比べて1/1000以下と小さく,微細なパターンを形成できる装置である。この装置を使い,有機半導体層上にソースやドレインの電極を形成する。電極はAg(銀)であり,幅2μm,厚さ25nmである。

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