緑色蛍光体「β-サイアロン」(左)と赤色蛍光体「CaAlSiN<sub>3</sub>」(右)
緑色蛍光体「β-サイアロン」(左)と赤色蛍光体「CaAlSiN<sub>3</sub>」(右)
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 物質・材料研究機構(NIMS)は,赤色および緑色の蛍光体と青色LEDチップで構成する白色LEDの試作に成功したと発表した(発表資料)。この赤,緑,青の成分比を自由に変化させ,カラー・フィルターの色特性などにあわせた光源の設計ができるという。この白色LEDを液晶パネルのバックライト光源に用いた場合,色再現範囲はシミュレーション値でのNTSC比で91%であり,YAG系蛍光体を用いた従来のLEDの72%より色再現性が向上したとする。

 開発した白色LEDは,青色LEDチップと,NIMSがこれまでに開発した赤色蛍光体「CaAlSiN3」,緑色蛍光体「β-サイアロン」を改良したものを組み合わせた。青色LEDが発する波長460nmの光を,赤色蛍光体は650nmの赤色に,緑色蛍光体は540nmの緑色に変換。これにより,赤,緑,青の3原色成分を発生することができる。

 従来の白色LEDバックライトは,青色LEDチップと黄色蛍光体を組み合わせものが多い。ソニーは,赤,緑,青それぞれの単色のLEDで発光するバックライトを提案しているが,3種類のLED駆動回路が必要であるといった課題があった。

 今回の研究成果は,2008年3月27日から日本大学で開催する第55回応用物理学関係連合講演会で発表する。

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青色LEDと緑/赤蛍光体の発光特性(画像のクリックで拡大)
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