三菱電機は,多結晶Si型太陽電池のセル変換効率を18.6%に高め,世界最高値を達成した。2008年2月に公開した「ハニカム・テクスチャ」と呼ぶ新技術などを搭載した太陽電池セルの変換効率を,公的認証機関である産業技術総合研究所で測定して判明した(Tech-On!関連記事)。
多結晶Si型太陽電池のセル変換効率は,京セラが「バック・コンタクト」と呼ぶ新規の電極構造を使って実現した18.5%がこれまでの最高値だった。今回三菱電機は,標準的な電極構造のままで,バック・コンタクト構造を超える変換効率を実現できることを示した。
三菱電機は,2012年度に年間生産量を500MWに高める目標を掲げている(Tech-On!関連記事)。世界最高値を実現するカギとなったハニカム・テクスチャ技術は,2010年度以降に量産適用する予定である。セル変換効率が16%から18%に高まれば,150mm角のセル1枚当たり,0.4Wの出力向上が可能になる。セルを50枚並べるモジュール当たりでは,20Wの出力向上となる。
ハニカム・テクスチャを形成するには,150mm角のセルの表面に形成したSiN膜にレーザーで1億個の穴を開ける必要がある。量産に向けては,自社開発するレーザー加工装置のスループット向上が課題となる。レーザー加工装置のスループットを高めれば,出力当たりの製造コストを抑えることができる。
日経マイクロデバイスは,2008年4月号から「太陽電池基礎講座(仮)」を開始する予定です。