図1 ソニーマーケティングが開始する無料のIP放送サービス「branco」の画面イメージ
図1 ソニーマーケティングが開始する無料のIP放送サービス「branco」の画面イメージ
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図2 ソニーのグループ会社などがチャンネルを運営する。ソニーマーケティングがチャンネル運営会社に番組使用料を支払う形態で,広告はソニーマーケティングが管理する
図2 ソニーのグループ会社などがチャンネルを運営する。ソニーマーケティングがチャンネル運営会社に番組使用料を支払う形態で,広告はソニーマーケティングが管理する
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図3 ユーザーの属性に合わせて広告映像を差し替える仕組みを用意した。広告の再生回数を収集する仕組みも用意しており,ユーザーのプライバシーを侵さない範囲で広告映像の再生回数などを広告主に報告する
図3 ユーザーの属性に合わせて広告映像を差し替える仕組みを用意した。広告の再生回数を収集する仕組みも用意しており,ユーザーのプライバシーを侵さない範囲で広告映像の再生回数などを広告主に報告する
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図4 番組表はWebブラウザで閲覧する。この番組表サイトで視聴予約が行える
図4 番組表はWebブラウザで閲覧する。この番組表サイトで視聴予約が行える
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 ソニーマーケティングは,IPマルチキャスト技術を用いた放送型テレビ・サービス「branco」を2008年3月31日に開始すると発表した(発表資料)。NTT東西のFTTHサービスの利用者を対象としたサービスで,無料で提供する。地上テレビ放送などと同様に,放送中の動画の間に挿入する広告映像で得た収入によって運営費用を賄う。当初は専用のアプリケーション・ソフトウエア「branco player」をインストールしたパソコンだけで視聴可能だが,「将来的にはネットにつながるソニーの様々な機器で視聴できるようにしたい」(ソニーマーケティング ビジネスデベロップメント 総括の杉山博高氏)とする。

 brancoは,複数のチャンネルの番組を同時並行で送信するサービスで,ユーザーはチャンネルを切り替えながら好きな番組を視聴する(図1)。映像の再生には米Microsoft Corp.の「Windows Media Player」を利用しており,符号化データ速度が2Mビット/秒~3.8Mビット/秒のWMV形式の映像を送信する。「DVD並みの画質を実現できる」(ソニーマーケティング インテグレーテッドビジネス推進部 PANGEAプロジェクト チーフプロジェクトマネジャーの柿沼英彦氏)。

 サービス開始時は,6チャンネルで番組を提供する。海外ドラマやアニメ,音楽,ドキュメンタリー,Flashアニメなどがある(図2)。例えば,4時間の番組編成を1日に6回,それを週に2日ずつ放送するといった形態を想定する。「基本的には1チャンネルにつき,1週間当たり10数時間のコンテンツを入れ替えながら放送する計画」(柿沼氏)という。

ユーザーの属性に応じて広告を差し替え

 番組の途中に挿入する広告映像は,ソニーマーケティングが管理する。ユーザーが登録した属性などに応じて映像を差し替える独自の仕組み「PPoS(personalization program over streaming)」を開発しており,この仕組みを広告映像の再生に利用する(図3)。視聴用ソフトウエアのbranco playerは,ユーザーが番組を視聴している間,通常番組とは別のチャンネルで放送される広告映像を蓄積する。そして,広告映像を再生する時間になったら,「40歳代男性」「20歳代女性」といった属性に適合する映像だけを再生する。

 branco playerは,画面全体に表示する形態と,画面の端に小さなウインドウで表示する形態の2種類を用意した。同じチャンネルを視聴しているユーザー同士で利用できるチャット機能を用意した。番組表はWebサイト上に掲載しており(図4),その番組表から視聴予約を行う機能や,ユーザーの属性や視聴履歴などから推奨番組を表示する機能などを用意した。

 ソニーマーケティングは,「ソニーとユーザーの新しい接点を創造する」(杉山氏)ことを目的にbrancoを構想し,ソニーと共同で開発した。新しい使い方を実現するメディアの提案によって,ハードウエアの付加価値を高める狙いもあるという。「具体的な目標時期は言えないが,このサービス単独での黒字化はもちろん狙っている」(杉山氏)。

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