Auが触媒となり,光ファイバ中でSiH4ガスが結晶Siに変わる。副産物として水素ガスが出る。(図提供:Penn State University)
Auが触媒となり,光ファイバ中でSiH4ガスが結晶Siに変わる。副産物として水素ガスが出る。(図提供:Penn State University)
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 米国Pennsylvania州のPenn State Universityと英University of Southamptonから成る研究チームは,光ファイバの芯線部分に単結晶Siを形成する技術を開発したと発表した(発表資料)。ICを光ファイバ内に形成して,データ処理機能を備えた光ファイバの実現に向けた一歩だという。

 今回の技術のポイントは,細長い光ファイバ中にどのように単結晶Siを形成するかである。同研究チームが採用したのは,FLS(fluid-liquid-solid)法という方法である。これは,(1)芯が中空の光ファイバに金(Au)をレーザ光で溶かし入れて栓のようにする。(2)シラン(SiH4)ガスを高圧ヘリウム(He)ガスに加えてファイバ中に通す。(3)光ファイバを加熱する,というもの。こうすると,Auが触媒になって,シラン・ガスが分解し,光ファイバ中で単結晶Siに変わるという。

 同研究チームは2006年に多結晶SiやアモルファスSiを光ファイバ中に形成することに成功している。今回,単結晶Siの形成に成功したことで「(半導体として)より高い性能を期待できる」(Penn State大,associate professor of ChemistryのJohn Badding氏)という。

 今回の成果をまとめた論文は2008年3月の「Advanced Materials誌」のオンライン版などに掲載された。