日立製作所は2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結業績予想を下方修正した(PDF形式の発表資料)。売上高,営業利益は前回予想を据え置いてそれぞれ10兆8000億円(前年度比5.4%増),3000億円(同64.4%増)としたが,純損益は前回予想の100億円の黒字から700億円の赤字へ引き下げた。

 赤字の主因は薄型テレビ事業の不振である。液晶テレビ,プラズマ・テレビともに発売から1年以上が経過した旧機種が同社の予想以上に苦戦,販売台数の減少と平均販売単価の下落の両方につながっている。「新製品の主流がフルHD品になる中で,旧機種はフルHDでないものもあり,見劣りしたと思われる」(広報)。50型以上のプラズマ・テレビの販売台数が予想を下回ったこともあり,これら薄型テレビなどを扱う「デジタルメディア・民生機器」部門は通期で1120億円の営業損失を計上する見通し。ただし,全社の営業損益では電子デバイスや情報通信システムといった他部門の好調が薄型テレビ事業の不振を補う見込みである。

 営業外損益ではこの薄型テレビ関連の構造改革費用を約560億円,計上する。内訳は,PDP工場である富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)宮崎事業所の二番館の減損損失が約151億円,三番館の減損損失が約350億円,オーストラリアでの薄型テレビ販売事業からの撤退に伴う在庫処分などの費用が約60億円である。二番館は2007年10月末で生産を中止(Tech-On!関連記事)。三番館はプラズマ・テレビの販売台数が当初予測を下回ったため,操業度が上がらず,収益性が低下している。

《訂正とお詫び》
記事掲載当初,通期の連結売上高の見込み額を1兆800億円としていましたが,これは誤りで,正しくは10兆8000億円です。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。

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