図1 IIDev CEOの鎌田長明氏
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図2 Curio CEOの小林慶太氏
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図3 ネイキッドテクノロジー Directorの佐野岳人氏
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図4 LoiLo Inc.の大塚俊一氏(左)と杉山竜太郎COO(右)
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図5 慶應義塾大学の斉藤匡人氏
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図6 ウィズダムウェブ CTOの大囿忠親氏
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図7 マッシュマトリックス CEOの冨田慎一氏
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図8 最後にスピーチした古川享氏
図8 最後にスピーチした古川享氏
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 IPA(情報処理推進機構)は2008年3月11日に米国シリコンバレーにおいて,「未踏ソフトウェア創造事業」で選出した「スーパークリエータ」と呼ぶ開発者らによる事業説明会を開催した(ITproの関連記事)。2007年6月にも開催しており,今回で第2回目となる。前回の開催で実際に米国進出や米国での製品投入につなげたベンチャーがあり,「今回の説明会も海外展開へのきっかけにしたい」とする。

 今回のイベントにはIIDev Corp.(情報基盤開発)とCurio Inc.ネイキッドテクノロジーLoiLo Inc.斉藤匡人氏ウィズダムウェブマッシュマトリックスが,それぞれが開発中の技術やビジネス・モデルを説明した。

紙のアンケートを簡単に集計

 IIDev Corp.は,紙で行われているアンケートなどを通常のスキャナで読み込んで簡単に集計できる「AltPaper」を紹介した(図1)。米Microsoft社の「Word」を使ってアンケートの作成が可能である。数百枚単位でアンケートを集計する用途での利用に最適とする。ビジネス・モデルとしては,ソフトウエアを販売するのではなく,業務用コピー機と同じように1枚当たりいくらと課金する考えだ。

 Curio Inc.は,ユーザー間でブックマークを共有し,嗜好に合ったWebサイトを自動収集できる「swimmie」について説明した(図2)。米Mozilla社のブラウザ「Firefox」にアドオンできる。日本では2008年2月から一般向けにダウンロード・サービスを開始している。2008年6月までに英語などの外国語版の投入を計画しており,2008年までに世界中で100万ユーザーの獲得を狙う。

 ネイキッドテクノロジーは,パソコン向けにHTMLで作成されたWebページを携帯電話機の小さな画面に最適表示する「NAKED BROWSER」を開発している(図3)。HTMLにXUI(eXtensible User Interface)の属性を加えて,携帯電話機で見やすい表示を作成できるとのこと。2008年6月までにNTTドコモ,同12月までにau,Softbankブランドの携帯電話機でアプリケーションをダウンロード可能にしたいという。

 LoiLo Inc.は,編集作業中のレンダリング待ち時間なしで映像編集ができる「LoiLoScope」を紹介した(図4)。通常のパソコンで利用可能で,複数再生やエフェクトの追加,複数の映像を重ね合わせて再生しても映像が止まることがないのが特徴である。このほか,パソコンに取り込んだ多数の映像を簡単に整理し,グループ化する「Magnet」機能などを備えている。

ネットワークの通信を視覚化

 斉藤匡人氏は,パソコンやエンタープライズなどエンドホストでのネットワーク通信イベントを3次元的に視覚化できるUNB(Ubiquitous Network Browser)を開発している(図5)。自分がどのような通信相手とネットワーク上でつながっているのかをはじめ,その相手との通信量や通信速度,通信時間などの情報をリアルタイムで視覚化することができる。

 ウィズダムウェブは,携帯電話などの携帯端末でパソコンと同様にWebサイトなどのコンテンツを閲覧できる「Mobile Glimpse」について紹介した(図6)。HTMLをFlash Liteのデータに変換して,携帯電話機で高速にブラウジングしやすくする。ブラウジングに必要な機能を携帯電話機に実装するのではなく,サーバ上で処理する。同社は,2010年には携帯電話機のほとんどがFlash対応になるとみており,こうした技術が有効になるとの考えだ。

 マッシュマトリックスは,さまざまなWebサイト上のデータなどを一つの画面に統合できるマッシュアップ・サービス「Afrous」を開発している(図7)。特徴は,JavaScriptを使うことで,マッシュアップをクライアントのブラウザ内で処理できること。従来のマッシュアップ・サービス(例えば,Yahoo!の「Pipes」)のようにネットワークを介してサーバ側で処理する必要がない。

 今回渡米したスーパークリエータは,プロジェクト・マネージャを務めている,元マイクロソフト会長の古川享 慶應義塾大学 教授と元フォーバル副社長でインテカー 代表取締役のウィリアム斉藤氏が選出した。このほか,現在first compass groupのGeneral Partnerである外村仁氏が今回の開催に尽力したという。

 イベントの最後には古川氏が登壇し,「可能性を秘めた若者をさまざまな形でサポートして欲しい」と熱く語った(図8)。イベント終了時間を過ぎていため,6分間ほどのスピーチとなってしまい,「古川氏のスピーチとしては歴史的に短いものになった」(外村氏)という。

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