Fire Eagleの位置づけ。ユーザーの位置情報を取得するサービスと,位置情報を元に情報を提供するサービスを仲立ちする。
Fire Eagleの位置づけ。ユーザーの位置情報を取得するサービスと,位置情報を元に情報を提供するサービスを仲立ちする。
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位置情報の管理画面。どこまで詳細な情報を提供するかを指定する。
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 O'Reilly Emerging Technology Conference(ETech)の第3日の基調講演では,米Yahoo! Inc.の「Fire Eagle」と呼ぶサービスのベータ版も公開された(Fire EagleのWebサイト)。ユーザーの位置情報と,位置情報を元に情報を提供するサービスを“つなぐ”サービスである。これまで同社の研究開発部門であるYahoo! Research Berkeleyがプロトタイプを開発し,一部メディアなどに公表していたもの。今回公開したベータ版は,同社から招待状を入手した開発者のみ利用できるという。

 一般に位置情報を利用したサービスは,ユーザーの位置を取得する部分と,位置情報に関連する情報を提供する部分が密接につながっていることが多い。どちらも同じサービス事業者が提供しているからだ。例えばNTTドコモの位置情報サービスとKDDIの位置情報サービスが相互に利用できることはない。「我々のサービスを利用すれば,ユーザーはいつ,どのサービスに位置情報を渡すか管理でき,しかもさまざまな情報提供サービスを利用できる。逆に情報サービス提供者にとっては,さまざまな位置情報サービス向けに情報を提供できることになる」(Yahoo!社)。

 ユーザーがFire Eagleを利用するのは無料で,Fire Eagleを通じて自分の位置情報を提供するサービスや利用するサービスを選択できる。さらに,個別の情報提供サービスに通知する位置情報も管理できる。例えば,渡す情報を詳細な情報または郵便番号,街,地域などに制限できる。これにより,ユーザーが自身のプライバシーを考慮して適切な情報の提供が可能になる。

 情報提供サービス側では,Fire Eagleがユーザーの位置情報を管理するので,多種多様な位置情報サービスに対応する必要がなくなるとともに,個人情報の管理などにサービス開発者が余計な手間をかけずに済むという。Fire Eagleの普及を進めるため,Yahoo!社はFire EagleのAPI(application programming interface)を公開している。また現在のところ,非営利のサービス事業者はFire Eagleを無料で利用できるという。