米Qualcomm Inc.がフィンランドNokia Corp.の特許侵害を訴えていた訴訟において,英高等法院(UK High Court)は「Qualcomm社の申し立ては無効である」との決定を下した(発表資料)。Nokia社が2008年3月3日に明らかにした。

 この訴訟は,Qualcomm社が2006年5月24日に提訴していたもの。Qualcomm社は,Nokia社のGSM/GPRS/EDGE方式のみに対応する携帯電話機が,Qualcomm社の保有する消費電力低減および電源制御技術に関わる特許2件を侵害していると主張していた。しかし,今回英高等法院は「Qualcomm社の消費電力低減技術に関する特許は無効。電源制御に関する特許は一部有効であるが,有効な部分に関してNokia社はQualcomm社の特許を侵害していない」との判決を下した。

 Nokia社は,「Qualcomm社の申し立てを無効とする判決に満足している。これは,事実と一致するものと信じている」としている。また,Nokia社は「GSM方式に関して,Qualcomm社が関連性のある有効な特許を保有していないと結論付ける訴訟は,今回が2件目」と話した。

 Qualcomm社は2007年12月に,米国際貿易委員会(International Trade Commission:ITC)から「Nokia社のGSM/GPRS/EDGE方式の携帯電話機は,Qualcomm社の特許を侵害していない」との仮決定を下されている(Tech-On!の関連記事1)。この仮決定に対し,Qualcomm社は再検討を請求していたが,その請求も2008年2月に退けられている(Tech-On!の関連記事2)。

 さらにNokia社は,「Qualcomm社は2年以上に渡って,世界中で11もの特許侵害訴訟を当社に対して起こしているが,まだ1件も勝訴していない」とした。

 なお,英高等法院の判決を受けて,Qualcomm社は「英国の法廷に上訴の許可を求めるかどうか検討している」とした(発表資料)。