米IBM Corp.は,消費電力が既存の電気伝送技術の1/100,既存の光伝送技術と比べても1/10と少ない光伝送技術「Green Optical Link」を開発した。光通信技術の国際学会および展示会「2008 Optical Fiber Communications Conference(OFC)」で発表した。

 この光伝送技術を用いると例えば,伝送容量が8Tビット/秒(5000本のHD動画信号を同時に伝送した場合に相当)の場合に,消費電力はわずか100Wの消費電力で済む。スーパー・コンピュータでの利用に向けて開発したが,携帯電話機などにも応用可能だという。「HD動画データを携帯型音楽プレイヤーや携帯電話機,PDAに記録しておき,外付けの大型ディスプレイにその動画を映せるようになる」(同社)。

 今回の光伝送技術は,「1年前の開発状況と比べて大幅に進展した」(同社)という。具体的には,「Optochip」「Optocards」「24チャネル小型光トランシーバ」などを開発した。Optochipは,光伝送用の各種素子を3次元的にパッケージしたモジュール。1チャネル32Gビット/秒の光伝送路を32本,プリント基板に実装した。Optocardsは,樹脂の薄膜からなる光導波路を高密度に並べたもの。1本の光導波路は毛髪よりも細いという。

 24チャネル小型光トランシーバは,1チャネルのデータ伝送速度が12.5Gビット/秒であるため,全体では300Gビット/秒の大容量データを伝送できる。既存の光伝送のトランシーバに比べて伝送容量は10倍,一方で体積は1/10であるという。