米Gartner, Inc.は,2007年の携帯電話機世界市場の調査結果を発表した(発表資料)。エンド・ユーザーへの販売台数は対前年比16%増の11億5284万台だった。第4四半期の販売台数も対前年同期比16%増の3億3305万台と,2007年通年とほぼ同じ伸びだった。新興市場では,多くの人が1台目の携帯電話機を購入しており,特に中国やインド市場が大きな伸びを示している。日本や西欧といった成熟市場では,テレビ・チューナーやGPS,タッチ・スクリーン,高解像度のカメラといった機能を備える先端的な機種への購買意欲が高いという。

 同社は2008年の世界市場について,「成熟市場がより飽和することによって,エンド・ユーザーへの販売台数は減速し,10%程度の成長にとどまる」と予測する。ただし,米国や西欧の景気後退に対しては比較的影響は少ない見通しという。その要因は,2008年の市場成長の大半が,新興市場の成長によるためとする。西欧と北米の世界市場全体に占める割合は,2008年に30%程度になるとみる。

 2007年のメーカー別の販売台数を見ると,首位は前年に引き続きフィンランドNokia Corp.。対前年比26%増の4億3545万台を販売した。シェアは同3.0ポイント増の37.8%。同社は第4四半期に1億3319万台を販売し,長期的な目標としていた市場シェア40%を上回った。部品不足があったものの,北米を除くすべての地域で直前期からシェアを拡大した。新興市場では「1110」や「1600」,「2630」といった機種が,西欧などの成熟市場では「N95」や「N82」,「N73」といった高位機種の需要が高かったという。

2006年と2007年のメーカー別シェア
2006年と2007年のメーカー別シェア (画像のクリックで拡大)

 2位の米Motorola Inc.は,販売台数が対前年比21%減の1億6431万台と大きく落ち込んだ。シェアは同6.8ポイント減の14.3%で,3位の韓国Samsung Electronics Co., Ltd.との差は大きく縮まっている。第4四半期のみでみると,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.に2位を奪われたものの,2007年前半に大きな在庫処分を行ったおかげで,年間では2位を維持した。

 3位のSamsung Electronics社の販売台数は対前年比33%増の1億5454万台で,シェアは同1.6ポイント増の13.4%だった。「Ultra Edition」や「Ultra Edition II」シリーズの販売が好調だった。4位は英Sony Ericsson Mobile Communications ABで,出荷台数は同38%増の1億136万台,シェアは8.8%だった。5位は韓国LG Electronics,Inc。出荷台数は同27%増の7858万台,シェアは6.8%だった。

 第4四半期に限って見ると,上位10社には新たにカナダResearch In Motion Ltd.(RIM),中国ZTE Corp.,米Apple Inc.の3社が入っている。ZTE社は低価格設定と新興市場に集中することで,RIM社は機能に注力することで,Apple社はブランド力とデザインで成長しているという。

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