デスクトップ・パソコンの種類による年間の二酸化炭素排出量(1000台当たり)
デスクトップ・パソコンの種類による年間の二酸化炭素排出量(1000台当たり)
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 IDC Japanは,国内の企業で使用されているデスクトップ・パソコンをマルチコア構成のマイクロプロセサを搭載するディスプレイ一体型機種に変更することで,1000台当たり,年間約65tのCO2排出量を削減できると発表した(発表資料)。65tのCO2は,東京ドーム約53杯分に当たるという。この試算は,外付けのモニターと同時に利用するデスクトップ・パソコンを,マルチコアのプロセサを搭載するディスプレイ一体型機種に置き換えた場合を想定している。

 IDC Japanは,消費電力の低いデスクトップ・パソコンへの切り替えによって,事務所内の室温の上昇を抑え空調効率を向上することが,消費電力量とCO2排出量を抑えることに効果的という。中でも,デスクトップ・パソコンの省電力化の鍵となる部品は,65nmルール,またはそれ以下の微細化で製造されたマルチコア構成のプロセサと分析する。

 パソコン・メーカーは数年前から製品の省電力化に取り組んでいたが,これまでその取り組みは売り上げへ貢献できなかった,とIDC Japanは説明する。その要因は,パソコンの省電力化に関するユーザーの関心が低く,製品を選択する際の優先順位が低かったことという。しかし,最近は夏の猛暑による電力不足の懸念や地球温暖化に関する放送が増えていることなどから,大手企業や政府,自治体を中心にITのグリーン化(地球温暖化ガスの削減や省電力化)に対する関心が高まっている。2008年は「その関心を実行に移行する年」になると同社はみる。

 同社は,「各企業でのCO2排出量削減を進める上で,低消費電力のパソコンの導入も必要となる。パソコン・メーカーにとって,今後明示的にCO2排出量削減効果を訴求することは,マーケティング上も重要になる」と話す。