複数のPANが存在する際の通信時間帯の分配のイメージ
複数のPANが存在する際の通信時間帯の分配のイメージ
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 KDDI研究所は,多数のユーザーがZigBee対応携帯電話機を同じ場所で利用しても,安定したZigBee通信を可能にする輻輳回避技術の開発に成功したと発表した(PDFの発表資料)。携帯電話機とセンサ間のZigBee通信を利用した健康状態の常時モニタリングなどへの応用を想定する。通勤ラッシュ時など多数のユーザーが同じ場所で利用する際に,データの送受信の失敗や通信遅延が増加するというZigBee技術の課題を解決したとする。

 今回開発した技術は,携帯電話機を中心とした複数のPAN(personal area network)間で無線チャネルと通信時間を自動分配し,通信混雑を回避する。具体的には,携帯電話機が周囲の無線の利用状況をスキャンし,他のPANと重複しない無線チャネルを探して利用する。他のPANによって,すべての無線チャネルが利用されている場合には,携帯電話機が他のPANを構成する携帯電話機と調整を開始し,通信を許可する時間帯をそれぞれのPANに自動分配する。

 KDDI研究所によれば,今回開発した技術を使わない場合は,同じ場所に50以上のPANが存在すると通信品質が劣化するのに対し,同技術を適用した場合には,400程度のPANが集まっても安定した通信ができるという。この評価結果は,同研究所の行ったシミュレーションによる。