米Frost & Sullivan社は,2008年2月18日,生体認証に対応したICカードに関する調査結果を発表した(発表資料)。これによると生体認証ICカード市場は,2007年に2億4910万ドルであった。企業の機密情報管理や銀行への需要,および電子パスポートの導入により,同市場は今後急成長するとみている。2013年までに8億2220万米ドルに達すると予想した。

 生体認証用ICカードの市場としては,「Nationl ID」の導入が,最も利益が見込める用途とする。Nationl ID とは,各国民の個人情報をICカードに納め,国民の個人情報を政府が一元管理する制度である。インドやマレーシアは,Nationl IDの生体認証試験を既に開始した。日本と中国は計画段階であるが,東アジアの全ての政府が,Nationl IDや電子パスポートに生体認証機能の採用を検討しているという。

 生体認証用ICカードを用いて本人確認を行う場合,パスワードの入力や複数の個人情報を確認する必要がない。また,ICカードをシステムに融合すれば,安価でセキュリティレベルの高い個人認証システムが実現できるという。しかし生体認証用ICカードの採用は,従来のより安価なアクセス制御システムの普及により妨げられているという。