Java技術に詳しい読者であれば,“Javaケータイ”といえば,2007年に米Sun Microsystems,Inc.が買収した米SavaJe社を思い出すのではないだろうか。米Google Inc.が発表した携帯電話機向けプラットフォーム「Android」は,アプリケーション・ソフトウエアをすべてJavaで記述する。その構成はSavaJeに近い。

 SavaJeを買収した資産を携帯電話機メーカー向けのソフトウエアとしてまとめたものが,2007年5月にSun社が発表した「JavaFX Mobile」である。しかし携帯電話機業界のなかで,その存在感はあまり感じられない。そこで最近の状況について,「Mobile World Congress 2008」でSun社のVice President,Communications & Media IndustryのDarrell Jordan-Smith氏に話を聞いた。

――今回,MWC出展の目玉は何か。
Jordan-Smith氏(以下JS) 「Project Destination」だ。サービス事業者のためのモバイル・アプリケーションのフレームワークで,アドレス情報を元にナビゲーションや近隣情報のデータベースなどを提供できる。次世代のモバイル機器向けに必要なサービスの一つと考えている。

――JavaFX Mobileこそ,こういう場所で強く打ち出すものではないのか。
JS JavaFX Mobileも展示している。Project Destinationのコンテクストの一部として存在している。

――しかし,市場においてはあまり存在感がないようだが。
JS そんなことはない。Google社がAndroidを発表したおかげで,むしろ携帯電話機メーカーからの問い合わせは増えたくらいだ。Java FX Mobileを使えば,Androidや米Apple Inc.の「iPhone」のようなサービスや,ユーザー・エクスペリエンスを作れる。
 JavaFX Mobileは次世代のシステムであり,すぐに採用されるというものではない。昨年の発表時点ではまだ,応用事例を見せられなかったが,それがようやく提示できる状況にきている。

――次世代という点では,Javaの規約としてMobile Service Architecture(MSA)もある。
JS MSAはあくまでも規約であり,JavaFX Mobileが製品であるという点が大きな違いだ。ある意味,MSAを拡張して実装したものがJavaFX Mobileだと言える。Web 2.0のような技術を実現するためのものだ。