日本でIPアドレス資源の管理を担当している日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は2008年2月19日,「割り当て先組織へ連絡の取れない歴史的PIアドレスに関するご確認、ご協力のお願い」というタイトルの通達を発表した。お願い,と称してはいるが,その内容は,事実上の最後通牒と言える強い措置になっている。

 歴史的PIアドレスとは,商用のインターネットが本格化するころまでにプロバイダなどを介さず,IANAといった国際的なIPアドレス割り当て機関から直接割り当てを受けたIPv4アドレスを指す。PIは,Provider Independentの略である。現時点では,日本でIPv4アドレスの割り当てを受けるには,JPNICまたはプロバイダに申請する必要があり,IANAに直接申請することはできなくなっている。

 JPNICは,枯渇しつつあるIPアドレスの有効利用を図るため,3年前からこれらの,インターネットでは使われていない歴史的PIアドレスの回収を進めている。ところが,IPアドレスをインターネットで使わないまま,連絡先が分からなくなった組織が多く,回収がはかどっていなかった。これに対して,今回JPNICは強制的な手段に踏み切った。

 具体的には,(1)連絡が取れない組織についてIPアドレス取得当時の組織名と所在地を2008年3月上旬~6月上旬の間,JPNICのWebサイト上で公表する。(2)それでも連絡がつかない場合は2009年3月以降,該当IPアドレス・ブロックの登録をDNSなどのデータベースから削除する,というもの。事実上のIPアドレスの没収措置となる。