一辺20cmを割り込む大きさの極低温冷凍機。左の容器がピストン。右の冷却端とは最大50cm離せる。
一辺20cmを割り込む大きさの極低温冷凍機。左の容器がピストン。右の冷却端とは最大50cm離せる。
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冷却の原理。膨張時には,「ガス・ピストン」を利用している。
冷却の原理。膨張時には,「ガス・ピストン」を利用している。
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 富士電機システムズは3.5kgと,重さを同社製品の従来の1/2以下にした小型で軽い高温超電導用冷凍機を開発した。2008年2月18日に横須賀リサーチパーク(YRP)で開かれた「移動通信における電波資源拡大のための研究開発」のシンポジウムと実証実験の場で公開した。損失が小さくフィルタ特性が非常に急峻な超電導フィルタ向けに開発した。これまでの同社の製品では7kg超が最軽量だった。

 同社が冷凍機で採用する冷却の原理は「スターリング冷却」。ヘリウム・ガスの圧縮と膨張を繰り返すカルノー・サイクルによって,熱交換を実現する方法である。冷却温度は最低50Kまで実現可能で,液体窒素を用いるよりも低温にできる。運転時の消費電力は約50Wである。

 富士電機システムズは,ガスの膨張時に機械的なピストンの代わりに「ガス・ピストン」を利用することで,冷凍機の耐久性を向上させたという。また,今回の小型版冷凍機は,圧縮用ピストンと冷却端を細いパイプを介して分けて配置できるため,冷凍機の形状も柔軟に変更できるという。