日本ポリエチレン(本社東京)は,大分工場(大分市)の高密度ポリエチレン(HDPE)の生産設備を改造し,クロム触媒系HDPEの生産能力を増強する。同工場は,クロム触媒系とチーグラー触媒系の2系統の製造装置を備えるが,今回,そのうちチーグラー触媒系のプラントをクロム触媒系との併産プラントに改造する。2010年4月に改造を終える予定だ。設備投資額は約11億円。なお,HDPE全体の生産量は19万9000tで,従来と変わらない。

 クロム触媒系HDPEは,チーグラー触媒系に比べて大型中空成形用途で優位とされ,代表的な用途としてはプラスチック製自動車用燃料タンクがある。現在,プラスチック製タンクの国内での搭載率は40%弱程度だが,同タンクは軽量化に寄与できる上,耐久性も高いことから,日本ポリエチレンでは2015年には60~70%にまで増加するとみる。大型の工業薬品容器である200Lドラムも鉄製ドラムからの切り替えが進んでおり,1000LのIBC(Intermediate Bulk Container)についても,採用が増える見込みだ。

 今回の設備改造によって同社は,大型容器用HDPEの需要増加に対応する。加えて,同社が持つ触媒技術や生産技術,製品開発技術を生かすことで,高性能化を図る。