電流方向に結晶方位をそろえた
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Bi-Te系熱電変換素子
Bi-Te系熱電変換素子
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温泉とわき水の温度差で発電するシステム
温泉とわき水の温度差で発電するシステム
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単位面積当たりの発電量は太陽電池よりも多い
単位面積当たりの発電量は太陽電池よりも多い
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蓄熱ユニットと組み合わせた熱電発電システム
蓄熱ユニットと組み合わせた熱電発電システム
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 東芝は,熱電変換素子を使って工場などの廃熱を電力に変換する発電システムを「nano tech 2008」で展示した。単位面積当たりの発電量が太陽電池よりも多い点を生かして,工場などへの設置を目指す。

 150℃以下の低温域の排熱を利用するために,熱電変換素子の材料としてBi-Te系を選択した。既存のBi-Te系熱電変換素子よりも特性を高めるために,電流方向に結晶方位をそろえている。具体的には,Bi-Teに微量のSeとSbを添加した後,一方向凝固法でp型とn型の半導体材料を製造した。材料の特性を示す無次元性能指数(ZT)の値は1.0~1.1で,温度差100℃の場合の熱電変換効率は3.6%になる。

 東芝は,この熱電変換素子を使った発電システムを2005年12月に群馬県草津市に納めている。温泉とわき水の温度差で発電するシステムであり,2008年1月時点で運転時間は2万時間に達した。この成果を,展示会で広く一般に公開するのは初めてになる。

 太陽電池は,天候や昼夜によって発電量が左右される。これに対して熱電発電システムは,温泉などの安定した熱源があれば連続運転が可能である。このため,単位面積当たりの発電量が太陽電池よりも多くなるという。東芝では,昼間だけ稼働する工場などに向けて,蓄熱ユニットと組み合わせた熱電発電システムを開発している。