ソフトバンクモバイルの孫正義社長
ソフトバンクモバイルの孫正義社長
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米Yahoo! Inc.のExecutive Vice PrsedidentのMarco Boerries氏
米Yahoo! Inc.のExecutive Vice PrsedidentのMarco Boerries氏
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カナダResearch In Motion Ltdの共同CEOであるJim Balsillie氏
カナダResearch In Motion Ltdの共同CEOであるJim Balsillie氏
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 Mobile World Congress 2008の三日目,基調講演にソフトバンクモバイルの孫正義社長が登壇した。基調講演のテーマは「Over the Top」。ほかに米Yahoo! Inc.のExecutive Vice President,Connected Life DivisionのMarco Boerries氏,カナダResearch In Motion Ltd.(RIM)の共同CEOであるJim Balsillie氏が登壇し,その後3人でパネル・ディスカッションをするという形態を採っていた。

 孫氏はまず「2008年はインターネット・マシンの年になる」と宣言した。その理由としては,3Gではまだデータ伝送速度が十分ではなかったが,2008年から利用が広がるであろうHSDPAなどの3.5Gであれば,アクセス速度も問題がなくなるためと指摘する。携帯電話機に搭載するマイクロプロセサも十分に高速で,レンダリング速度も十分に早いという。またディスプレイも大型化して,表示能力も進化した。「携帯電話機は,24時間ユーザーの手元にある。これに対しパソコンは利用者の接触時間が2時間にすぎない。これからは携帯電話機がインターネット利用の主役に変わる」(孫氏)。これに伴ってコンテンツの作り方が変わるという。これまではパソコン用と携帯電話用の両方を用意しなければならなかったが,「インターネット用一つで足りるようになる」(孫氏)。

 携帯電話の通信の主役は,音声からデータへ移行する。孫氏はインターネット・サービス「Yahoo! BB」のサービス開始後の比較的早い段階から「BBPhone」というサービスを始め,加入者間の電話料金を無料にしたことを挙げて,「音声のARPUなんて不要だ」と語った。

 こうしたことに伴い,事業者は考え方を大きく変えなければいけないとも語った。「これまでは事業者が王様だった。そこへインターネット文化を体現したサービス企業が続々参入してきている。かつてMicrosoft Corp.が小企業で米IBM Corp.などに『可愛い,かわいい』と言われているうちに巨大企業に変身したように,うかうかしていると事業者も足もとをすくわれる可能性がある」(孫氏)。

 続いて登壇したYahoo!社のBoerries氏は,昨日発表した「oneConnect」について説明した。講演内容は,同社の前日の記者発表会の内容がほぼ同一だった。3番目に登壇したRIM社のBalsillie氏は,「安心して使ってもらうために,セキュリティーを重視」「企業システムとの連動が重要であり,IBM社のLotus製品やMicrosoft社の製品などとの連携機能を備える」など,同社が提供する「Blackberry」の優位性を訴えた。

 パネル・ディスカッションで議論になったのは,モバイル・インターネットにおける課金に関してである。Yahoo!社のBoerries氏やRIM社のBalsillie氏が「原則,広告モデルで収益をあげることになる」と語ったのに対し,孫氏が猛反論した。「携帯電話機では,確実に課金できることがポイントになる。情報料という形態によってて課金できる。むしろこちらから取得できる収入の方が,大きいはずだ」と指摘した。現在広告モデルで成功している米Google Inc.を引き合いに出し,「Google社の栄光も長くは続かない」と語って会場を沸かせた。