図1 グンゼが龍谷大学や中戸研究所と共同で開発した,水蒸気や酸素の透過を防ぐ透明フィルム。フレキシブル有機ELパネル向けの基板材料に向ける
図1 グンゼが龍谷大学や中戸研究所と共同で開発した,水蒸気や酸素の透過を防ぐ透明フィルム。フレキシブル有機ELパネル向けの基板材料に向ける
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 グンゼは龍谷大学や中戸研究所と共同で,水蒸気や酸素の透過を防ぐ透明フィルムを開発し,国際ナノテクノロジー総合展「nano tech 2008」(2月13~15日,東京ビッグサイト)に参考出展した(図1)。同社が開発した耐熱性の高い透明フィルム「Fフィルム」をベースに,ガスバリア層を積層することで実現したとする。フレキシブル有機ELパネル向けの基板材料としての用途を想定している。

 開発品の厚さは100μm。有機EL素子の劣化を防ぐため,有機膜と無機膜を積層して水蒸気や酸素などのバリア機能を持たせた。水蒸気透過度は開発品単体では2.0×10-4g/m2・日,透明電極としてITOを成膜した場合は5.2×10-5g/m2・日である。グンゼによると「ガスバリア層の厚みは1μm以下」としながらも,具体的な材料系や積層数に関しては「回答できない」という。透過率については92%~93%とする。

 ベース・フィルムに用いたFフィルムの線膨張係数は60ppm/℃であり,120℃で1時間保存した場合の収縮率は0.05%と低い。耐熱性も高く180℃で形状を保持できるとする。このため,「TFTアレイなどの製造プロセスに耐えられる」(グンゼ)という。