図1:記者発表会の様子。画面中央のマスコット「AIRA(アイラ)」はアーティストの石井竜也氏が鉄をイメージしてデザインしたという。
図1:記者発表会の様子。画面中央のマスコット「AIRA(アイラ)」はアーティストの石井竜也氏が鉄をイメージしてデザインしたという。
[画像のクリックで拡大表示]
図2:会場では,サイエンス・プロデューサーの米村でんじろう氏による化学実験も行われた。写真は,金だわしと乾電池を使って火をおこす実験。
図2:会場では,サイエンス・プロデューサーの米村でんじろう氏による化学実験も行われた。写真は,金だわしと乾電池を使って火をおこす実験。
[画像のクリックで拡大表示]

 「日本社会は50年後も100年後も鉄の社会でなければいけないと思っている」――新日本製鐵 代表取締役副社長の関澤秀哲氏は,日本鉄鋼連盟(鉄鋼連)が2008年に展開する「近代製鉄発祥150周年記念事業」の意義についてこう語り,日本の産業界における鉄鋼業の重要性を強調した。

 同事業は,鉄鋼連が現在の製鉄法の原型を作った洋式高炉の誕生150周年を記念して行うもの。2008年は,1858年に南部藩士の大島高任(おおしま たかとう)が近代的な洋式高炉を利用した製鉄に成功してから150年目となる。砂鉄と木炭を使った「たたら吹き」と呼ばれる手法から,鉄鉱石を使用し製鉄のプロセスを連続化した洋式高炉への転換点である。

 鉄鋼連はこの事業の一環として2008年に「鉄と人の風景フォト&絵画コンテスト」や「鉄の不思議教室」(2つとも対象は小学生,開催日時は未定)など,鉄をテーマとしたイベントを行っていく。また,2008年7月26日~27日に六本木ヒルズアリーナで開かれるメイン・イベント「鉄の星フェスティバル」では,アーティストの石井竜也氏によるテーマソングの発表やサイエンス・プロデューサーの米村でんじろう氏による鉄を使った実験パフォーマンスなどを行う。

 この事業の実行委員長でもある関澤氏は,鉄鋼業に対する学生の人気や社会の認知度の低さを憂慮して事業を企画したという。「鉄はすべての産業を支えているが,日本の鉄鋼業界にどんな会社があるかすらもよく知られていない」「ものづくり産業として社会に浸透していない」(関澤氏)との思いがあったという。

 また,関澤氏は鉄鋼業を「ものづくりの先端」と位置づけているという。例えとして鉄鋼業の支えによって日本企業が軽量で強度の高い自動車を造れることを挙げ,鉄がこうした「産業の連鎖」に果たしている重要な役割が見過ごされているという。

 イベントのターゲットは特に絞っていないとしたものの,大学生以下のすべての層に特に興味をもってもらいたいという。2008年には前述のイベントのほか「JFEちびっこサッカー大会」や「夏休み工場見学会」といった子供向けのイベントの開催を予定している。関澤氏自身,物心ついたころに叔父から鉄鉱石をもらったことが鉄に興味を持つきっかけになったという。