マツダは2007年4月~12月の9カ月間の業績を発表した(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比9.5%増の2兆5062億5300万円,営業利益は同1.1%増の1083億9700万円と増収増益だった。通期の見通しに修正はなく,7期連続の増収増益と過去最高の販売台数136万台を狙う。

 自動車の販売台数は前年同期比11%増の97万5000台(前年同期との比較では,中国海南省で「マツダ」ブランド車の生産を終了した影響を除く)となった。国内では同4%減の17万5000台。国内で販売台数を減らしているのは同業他社と同様だが「市場規模が7%縮小した中で,当社は4%の減少にとどめることができた。10月~12月期に限れば前年同期の実績を2%上回っている。1月に発表した新型アテンザの評判もいいので,通期(2007年4月~2008年3月)はシェアが拡大する見通し」(CFOのDavid E. Friedman氏)という。

 海外の自動車販売台数は全地域で増加した。米国では「日本メーカーとして最大の成長率」(Friedman氏)という8%を記録し,北米地域で前年同期比9%増の30万2000台を販売した。欧州ではロシア,英国,ポルトガルの好調がドイツの不振を補って,販売台数は同3%増の22万8000台となった。新型「Mazda2(日本名:デミオ)」の投入で特に10月~12月期に売り上げが伸びたという。中国では海南生産車を除いた比較では前年同期から97%増加し,7万1000台を販売。その他地域の販売台数は前年同期比22%増の19万9000台だった。オーストラリアが12カ月連続で単月販売台数の過去最高を更新したという。

米国の奨励金増が利益を圧迫

 概ね好調な9カ月決算となったが,利益面にはやや陰りが見える。9カ月通算の営業利益率は前年同期の4.7%から4.3%へ低下し,10月~12月期に限れば営業利益は前年同期比で5.8%減少している。Friedman氏によれば減益の主因は3つ。すなわち,成熟市場より新興市場での売り上げが伸びたために車種構成が低採算化したこと,欧州で「Mazda6(日本名:アテンザ)」の切り替え費用がかかったこと,米国での販売奨励金が増加したことである。

 米国でのマツダの販売奨励金は10月~12月期の平均で1台当たり,前年同期より300米ドル高い2100米ドル。「業界全体の傾向に沿ったもの。通期平均もこのレベルを維持する」(Friedman氏)としており,需要が低迷する中で競争の激化が予想される。マツダは米国の2008年の市場規模を1550~1600万台と予測した。予想通りになれば前年比で1~4%程度,市場が縮小することになる。