図1 ユーザー事例の紹介前の様子
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図2 会場の様子
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 データ・センターなどの消費電力の削減を目指す非営利組織の米The Green Grid Associationは,同組織にとって初の技術フォーラム「The Green Grid Technical Forum」を2008年2月5日に米国サンフランシスコで開催した。

 実際にデータ・センターの低消費電力化に取り組んだユーザー事例や,省電力化に向けた世界の取り組みなどが紹介された。ユーザー事例には,ソリューション・プロバイダのAutomatic Data Processing(ADP)社やレンタカー大手のEnterprise Rent-A-Carが登場した。例えば,ADP社は,かつて20拠点にあったデータ・センターの数をここにきて2拠点へと大幅に減らしたことを明らかにした。これにより,1年当たりのCO2エミッション(排出)を約2万4000トン削減できたという。

 このほか,省電力化に向けた世界の動向の一つとして,経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課 課長補佐の有馬 伸明氏が2008年2月1日に設立された「グリーンIT推進協議会」を含む日本の取り組みを紹介した。この中で有馬氏は,省電力化という観点で今後有望なエレクトロニクス技術をいくつか挙げた。例えば,有機EL,高密度HDD,冷却技術などに期待しているという。

 また,The Green Grid Associationは,管理者がデータ・センターの電力使用状況を適切に評価するための新たな方法論や取り組み方,推奨業務プロセスを提供できるようになったことも明らかにした。データ・センターの電力利用効率の向上を狙う管理者に新たな評価の枠組みを提供する。この枠組みは,データ・センターを利用するエンド・ユーザーに対して,データ・センターの生産性について教育したり,消費電力への影響が大きい要因について理解を促したり,データ・センターの消費電力削減に向けて鼓舞したりすることを目指して開発したという。

 今回構築した枠組みは,具体的には4項目ある。(1)データ・センターの電力効率を高める上で克服する必要がある「組織の壁」への対処の仕方である。(2)電力効率についての基本的な市場動向の把握である。電力効率向上に関する業界の現状のほか,消費電力削減を目指す企業にとっての技術的なポイントや今後の課題をまとめる。(3)米エネルギー省の研究所であるLawrence Berkeley National Laboratory(LBNL)におけるデータ・センターに関する研究の紹介である。(4)サーバーの消費電力削減に向けた五つの実現手段の披露である。ただし,これらの4項目の詳細はThe Green Grid の会員企業に対してのみ開示される。会員企業以外に対しては,報道機関も含めて非公開である。

 The Green Gridは,2007年2月に設立された組織で,会員企業数は現時点で150社を超えている。理事会メンバーとして米Advanced Micro Devices,Inc.(AMD社),米Hewlett-Packard社,米Sun Microsystems社,米IBM Corp.のほか,米Dell社,米Intel Corp.,米Microsoft Corp.などが名を連ねる。