図1 日本語フォントをインストールしてTech-On!のサイトを表示させた
図1 日本語フォントをインストールしてTech-On!のサイトを表示させた
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図2 Writerで日本語を入力しているところ。画面キャプチャはできていないが,別ウインドウが左上に表示されている
図2 Writerで日本語を入力しているところ。画面キャプチャはできていないが,別ウインドウが左上に表示されている
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図3 Browserで日本語を入力。ウインドウはキャレット位置に表示される
図3 Browserで日本語を入力。ウインドウはキャレット位置に表示される
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図4 Skypeを実行しているところ。本来縦長のウインドウだが,全画面に表示されるのでここでは左半分程度を切り取った。上下に見慣れたSkypeのアイコンが見える
図4 Skypeを実行しているところ。本来縦長のウインドウだが,全画面に表示されるのでここでは左半分程度を切り取った。上下に見慣れたSkypeのアイコンが見える
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 XOのOSはLinuxそのものなので,Linuxのコンテキストに従って別のプログラムを導入したり,新しい機能を追加したりできる。Linuxを使った経験があれば比較的簡単だ。

 まずBrowserで日本語を表示できるようにする。OLPCのWikiサイトに日本語化の情報は掲載されているので,これを参照した。基本的にX Window Systemに日本語フォントが入っていないので,これを入れてあげればよいようだ。具体的には,Xが参照する「/usr/share/fonts」ディレクトリに,日本語TrueTypeフォントを入れる。Xは起動時にフォントを参照して自動的にシステムに登録するので,Xを再起動すれば日本語が表示できるようになる(図1)。

 ただこれだけでは,日本語の入力ができない。XOは基本的に国際化しているが,かな漢字変換サーバー・プログラムなどは組み込まれていない。そこでrootユーザーでログインし,
yum -y install scim-anthy
と入力する。yumはXOで採用しているパッケージ・マネジャーで,anthyはLinuxでよく使われている,かな漢字変換サーバー・ソフトウエア。scimはその入力メソッドのプログラムで,もともとXOで標準搭載されている。つまりここでは,「入力メソッドにscimを使ったAnthyのパッケージをインストールする」という指示を出していることになる。

 これでscimとanthyのインストールが完了すればめでたいのだが,残念ながらそうではなかった。X Windowの起動時に,入力メソッドscimを有効にするよう指示しなければならないからだ。

 Xはユーザー「olpc」が起動していることになっているので,その起動スクリプトに環境変数や,scimの起動指示などを追加する。具体的には個々のユーザー・アカウントごとにX Windowの設定を記述する「.Xsession」というファイルを書き換えて,環境変数などで入力メソッドとしてscimを使う指示を記述する。また,X Window起動時にscimを自動起動するよう,Sugarの環境を日本語に設定する指示も必要だった。

 実際に使ってみると,例えばWriteではかな漢字変換用のウインドウがキャレット位置に表示されず,別ウインドウで表示される(rootウインドウ・モードと呼ばれる)。正直言ってあまり美しくない。しかも変換ウインドウが右上に固定で表示されるので,ただ入力操作をしている行と,日本語変換処理の場所が離れてしまうだけでなく,妙なところに変換情報が表示されているという印象を受ける。ただし,日本語の入力自体は問題なく実行できた(図2)。続いてBrowserで日本語入力を試してみたが,こちらは特に問題がなかった(図3)。rootウインドウ・モードになるか,インラインで変換できるかはアプリケーション・ソフトウエアの作りに依存する。こうした問題は以前からあり,Writeが元にした「AbiWord」では以前からrootウインドウ形式でしか入力できなかったような記憶がある。

普通のLinuxとしてソフトウエアをインストールする
 続いて,OLPCが用意していないソフトウエアとして,Skypeをインストールしてみた。OLPCのWikiページによると,多少容量を食うものの,RPMのパッケージを入れればそれで大丈夫という記述があったので入れてみた。ところが,「public key for skype 2.0.0.27-fc5 not installed」というエラー・メッセージが出て,インストールできない。Skypeではパッケージをインストールするのに,Skype社が配布する公開鍵が必要なようだ。ところが同社のページにはその内容が見あたらない。Webでいくつかサイトを検索した結果,ようやく該当する公開鍵を発見してインストールに成功した(図4)。こういった情報はすべて,CentOSなどほかのLinux向けに書かれた内容がそのまま利用できた。要するに,普通のLinuxとして利用できている証拠と言えるだろう。

 ここまでいろいろと使ってみて,「意外に使える」というのが正直な感想だ。もちろん,マルチウインドウが使えない弊害はある。現在の多くのサービスやアプリケーション・ソフトウエアが,マルチウインドウを前提として作られているからだ。しかし一方で,XOの消費電力がわずか2Wと聞くと,これでも十分ではないかという印象を受ける。ポップなデザインもチャーミングだ。ただキーボードのピッチはともかく,感触の悪さはどうしても気になった。コスト的に難しい面はあろうが,成長期の子どもが使うことを考えると,もう少し質の高いキーボードであってほしかった。