図1 デジタル家電革命の「第2波」来る
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図2 デジタル家電革命の「第2波」時代に向けた技術課題
図2 デジタル家電革命の「第2波」時代に向けた技術課題
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 半導体回路技術の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2008」が2008年2月4日に米国サンフランシスコで開幕した。初日午前中の基調講演のトップ・バッターとして登場したのが韓国Samsung Advanced Institute of TechnologyでCEOを務めるHyung Kyu Lim氏である。講演タイトルは「The 2nd Wave of the Digital Consumer Revolution:Challenges and Opportunities」。

 Lim氏はまず,近年のエレクトロニクス業界の進化を「デジタル家電革命の『第1波』」と定義し,主に半導体や通信,ディスプレイなどのデジタル技術の進展が牽引役となって,モバイル・サービスやインターネット,デジタル放送などを含む「デジタル社会」を誕生させてきたと述べた。

 各種のデジタル技術の進展により,機器やLSIのコモディティー化が急速に進んだ一方で,消費者からはより洗練された機器やサービスを望む声が高まってきたと同氏は見る。言い換えれば,他の機器とは明らかに異なる個性を備え,かつ機器に対する基本的な機能要求を超えた新たな生活スタイルを提供できる機器やサービスが明確に求められ始めたという。その象徴が米Apple,Inc.の「iPhone」や任天堂の「Wii」のヒットに現れているとした。

 Lim氏は,これから始まる「デジタル家電革命の第2波」の時代では,新たな生活スタイルに対する消費者の要求が次世代のデジタル家電製品やそれに関連した革新技術を創出する牽引役になると予測した。つまり,デジタル家電革命の第1波では,デジタル技術が牽引してデジタル社会を創り出したのに対して,今後のデジタル家電革命の第2波では消費者の生活スタイルに対する要求がデジタル技術の進化を牽引するようになるという。

 デジタル家電革命の第2波の中心的な存在となる機器は,「真のモバイル・インターネット端末(true mobile internet)」と「次世代のデジタル・ホーム」とLim氏は言う。同氏は,これからのモバイル・インターネット端末に求められる仕様を現在のiPhoneと比較しながら説明した。例えば,iPhoneではディスプレイ・サイズが3.5型,通信のバンド幅が100kビット/秒,ストレージ容量が8Gバイト程度であるのに対して,同氏が定義する「真のモバイル・インターネット端末」では,ディスプレイ・サイズとして7型,通信のバンド幅として10Mビット/秒以上,ストレージ容量として80Gバイト程度はそれぞれ必要との見方を示した。

 また,インターネット端末とともにデジタル家電革命の第2波を担う「次世代のデジタル・ホーム」に使うディスプレイとしては,80型程度の画面サイズと,現行のHDTVの4倍程度の画素数に相当するUDTV(ultra high definition television)対応が求められると述べた。

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●さらに詳しい内容は,日経エレクトロニクス3月10日号に掲載する。