米Applied Materials, Inc.の薄膜型太陽電池向け一括供給製造ライン「Sun Fab」
米Applied Materials, Inc.の薄膜型太陽電池向け一括供給製造ライン「Sun Fab」
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 インドMoser Baer India Ltd.は,ニューデリー郊外のGreater Noidaに,光ディスクと太陽電池の製造拠点を構えている。周囲には,韓国LG Electronics社や伊仏合弁STMicroelectronics社などの拠点もある。このMoser Baerの製造拠点に,世界中の太陽電池関連メーカーの熱い視線が注がれている。

 現在,Moser Baerの子会社であるMoser Baer Photo Voltaic Ltd.は,薄膜Si型太陽電池を新たに製造すべく準備を進めている。寸法が2.2m×2.6mと巨大なガラス基板を使うのが特徴である。製造装置は,米Applied Materials, Inc.(AMAT)が「SunFab」と名づけて売り込み中の一括供給製造ラインを使う。

 Moser Baerは,AMATがSunFabを供給する初めてのケースとなる。それだけに,世界の太陽電池関連メーカーだけでなく,新規参入を狙う企業が立ち上げの成否に注目している。一括供給ラインが太陽電池事業への参入障壁を低くするとともに,大型基板が太陽電池の製造コストを一気に下げるからである。Moser Baerの製造が成功すれば,太陽電池の勢力図を大きく塗り替えるきっかけとなるだろう。

 2008年1月末にMoser Baerの製造拠点を訪れた際には,装置の設置と稼働準備の真っ最中だった。製造ラインを一括供給するAMATからは,約100人の技術者が送り込まれているという。Moser BaerとAMATの技術者が現場で議論を交わす場面もあった。

 製造ラインを見渡すと,さまざまな装置の筐体や部品が所狭しと並んでいた。装置の配置は,AMATが公表したSunFabの概念図の通りである。そのうち1/2~2/3の装置の据え付けがほぼ終了していた。中でも目立ったのは,巨大なオートクレーブとPECVD装置である。SunFabの成否の鍵を握るPECVD装置は,設置が終了しており,電源も入っていた。数日中にガラス基板の搬送テストをすることのことだった。

 日経マイクロデバイスは,2008年3月号で「インドの製造力~中台韓に続く新たな脅威に~(仮)」と題して,太陽電池を中心とするインドの電子デバイスの製造状況をお伝えする予定です。

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