パイオニア 常務取締役の岡安秀喜氏
パイオニア 常務取締役の岡安秀喜氏
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 パイオニアは,2007年10~12月期の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比1.7%減の2110億円,営業利益は同36.8%増の69億円だった。カーオーディオ製品の売り上げ増加やユーロに対する円安の効果があったものの,PDPテレビやDVDレコーダーが不振で売り上げが減少したことが減収をまねいた。営業利益については,PDPテレビ事業の損失が拡大したものの,好調なカーエレクトロニクス事業がPDPテレビ事業の不振を補い,増益につながった。

 連結決算を事業セグメント別にみると,カーエレクトロニクス事業の売上高は対前年同期比8.5%増の927億円,営業利益は同86%増の59億円だった。カーオーディオの売り上げが市販市場向けでは中南米で,OEM向けでは北米や中国,国内でそれぞれ増加したことが,カーエレクトロニクス事業の増収に効いた。営業利益については,好調に推移したカーオーディオ,そして市販市場向けカーナビが増益に貢献したという。

 一方,PDPテレビやDVDレコーダー,光ディスク製品を含むホームエレクトロニクス事業は振るわず,売上高は対前年同期比9.6%減の1005億円,営業利益にいたっては同72.8%減の8億円にとどまった。Blu-ray Disc関連のデバイスやパソコン用DVDドライブが好調だったものの,PDPテレビやDVDレコーダーは減収だったとする。DVDレコーダーは損益が改善していたが,PDPテレビは売り上げ減少によって損失が拡大し,ホームエレクトロニクス事業の営業利益の減収を引き起こしたとする。

PDPの出荷台数を48万台に下方修正

 2007年10~12月期の連結決算とともに,パイオニアは2008年3月期(2007年4月~2008年3月)の連結業績予想を発表した。売上高は8000億円,営業利益は100億円と予想し,2007年10月31日に発表した業績予想を下方修正した。2007年10月31日発表時に比べ,売上高は200億円減らしている。ただし,営業利益の予想は据え置いた。下方修正の主因は,ホームエレクトロニクス事業の不振が続くこと。以前の業績予想と比べ,同事業の売上高を200億円源の3440億円,営業利益を30億円悪化の175億円の赤字と予想する。

 下方修正の原因として,同社はPDPの不振を挙げた。PDPの予想出荷台数を48万台としており,以前予想した56万台よりも8万台少ない。なお,2006年4月~2007年3月には65万台出荷しており,1年間で出荷台数を約26%減らしたことになる。パイオニアのPDPテレビは他社品に比べて「1.5~2倍は高価」(同社)。画質の高さなどを評価して購入する消費者が確実にいる一方,「そのような消費者が想定よりも少なかった」(同社 常務取締役の岡安秀喜氏)という。

 パイオニアによれば,PDPを中心とするディスプレイ事業の抜本的な見直しを進めており,2008年3月上旬には見直し策を発表する予定。不振が続いているPDPではあるが,「PDPを止めることはない」(同社 常務取締役の岡安秀喜氏)ことを強調した。