決算説明する富士通 代表取締役副社長(CFO)の小倉正道氏
決算説明する富士通 代表取締役副社長(CFO)の小倉正道氏
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 富士通は2007年度第3四半期(2007年10~12月期)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年同期比8.1%増の1兆2949億円,営業利益は同395億円増の466億円と,増収増益を果たした。売上高,営業利益とも,すべての事業セグメントで前年同期を上回り,売上高は四半期開示を開始した2001年度以降,第3四半期としては過去最高を記録した。営業利益率は3.6%であり,これも第3四半期としては過去最高とする。

 事業別に見ると,サーバーやネットワーク機器,サービスを扱う「テクノロジーソリューション」事業は,売上高が対前年同期比6.8%増の7657億円だった。国内では携帯電話機の基地局向けが前年を下回ったものの,サーバー事業やサービス事業が好調で増収となった。海外はサービス事業が買収で規模を拡大したほか,既存ビジネスが堅調に推移し,増収となった。営業利益は同196億円増の342億円。

 パソコンや携帯電話機,HDDを扱う「ユビキタスプロダクトソリューション」事業は,売上高が対前年同期比11.7%増の3054億円。国内では前年同期に「Windows Vista」発売前の買い控えの影響を受けたパソコンが伸長した。海外はアジア地域を中心にノート・パソコンの売り上げが増加した。営業利益は同123億円増の134億円。パソコンの増収や部品のコスト低減によって増益を図った。HDDは3四半期ぶりに黒字になった。

 LSIや電子部品を含む「デバイスソリューション」事業は,売上高が対前年同期比8.3%増の2030億円。国内の売上高は同16.6%増である。90nm世代の先端ロジック製品がデジタル家電向けを中心に伸びた。フラッシュ・メモリもスパンション・ジャパンから購入した製造工場での受託生産を開始したことにより増収となった。一方,海外の売上高はロジック製品が増収だったものの,フラッシュ・メモリが減収となり,同4.6%減となった。営業利益は同89億円増の94億円。なお,同社は90nm世代以降の先端プロセス技術の開発および量産・試作を三重工場に一本化することを2008年1月に決定し,2008年3月をメドにLSI事業部門を分社する方針を発表している(関連記事)。

 2007年度通期の業績予想は,売上高が5兆3500億円と2007年11月の予想から500億円減額した。2007年末を境に円高が進んだことによる,欧州でのサービス事業や,電子部品などへの影響を織り込んだ。営業利益は2000億円と前回の予想から50億円増額した。円高で採算悪化が見込まれる電子部品や,受注回復が遅れているロジックLSIなどで利益の減少を見込むが,好調が続いているパソコンなどの利益の増加を織り込んだ。設備投資額は,11月時の予測と変わらず,テクノロジーソリューション事業が1100億円,ユビキタスプロダクトソリューション事業が300億円,デバイスソリューション事業が1250億円(このうちLSIは1000億円),その他が250億円,合計2900億円となっている。