「第14回ディスプレイサーチフォーラム」の会場
「第14回ディスプレイサーチフォーラム」の会場
[画像のクリックで拡大表示]

 「中国だからといって安い電子機器が売れるとは限らない」。フリーランスライターの山谷剛史氏は,2008年1月30日に開かれたディスプレイサーチ主催の講演会「第14回ディスプレイサーチフォーラム」でこのように述べた。中国では沿岸地域を中心に所得水準の高い消費者が増えつつあり,多少高価でも性能や機能の優れた海外メーカー製の電子機器に人気が集まっているとする。

 同氏によると,中国におけるインターネット利用者の平均月収は2万8000円弱。中国社会科学院が2007年に調査した「中国の金持ちサラリーマン」の月収でも,上海/北京/深センが8万円台,杭州/広州/蘇州/アモイ/青島が6~7万円,南京/大連/天津が4~5万円である。ただ,本人の貯金だけで電子機器を買うのではなく,両親からの資金援助も加えて購入する場合が多い。家族全員で資金を出し合うこともあるので,実際の購買力は高いとする。

 こうした人々が電子機器を購入する際,安すぎる製品は選ばないという。例えば携帯電話機の場合,1万5000円以下の機種よりも,1万5000~3万円の機種や,3万~4万5000円の機種の方が売れている。例えば,中国で発売されていない米Apple Inc.の「iPhone」やシャープの携帯電話機が高い人気を持つという。液晶テレビに関しても,7万5000円以下の機種よりも7万5000~12万円の機種や12万~15万円の機種の方が人気が高い。特に品質の良い海外製品に人気が集中しているとする。

 これは中国の消費者が,「せっかく高いお金で購入するのだから,思い切って海外製の良い製品を選ぼう」という意識が強いためと山谷氏は分析する。中国では高価な電子機器を所有していることが,一種のステータスになるため,多少無理をしても,より高級な機種を買おうとする傾向が強いという。逆に,安すぎる電子機器は,性能が悪くすぐに壊れるとの認識が広がっていると見る。

この記事を英語で読む